インスリンは冷蔵庫に入れる?外出・旅行するときの保管方法をわかりやすく解説

インスリンを使い始めると、

「インスリンはずっと冷蔵庫に入れておくの?」
「使っているペンも毎回冷蔵庫に戻すの?」
「旅行するときはどうやって持っていけばいい?」
「夏の車の中に置いてしまったけれど大丈夫?」
「飛行機に乗るときはどうするの?」

など、保管について迷うことがあります。

インスリンは温度の影響を受ける薬です。

そのため、

高温にしないこと、凍らせないこと

がとても大切です。

一方で、

「インスリンはいつでも必ず冷蔵庫に入れておかなければならない」

というわけでもありません。

未使用か使用中か、また製剤によって保管方法が異なります。

まだ使っていないインスリンはどう保管する?

未使用のインスリン製剤は、一般に決められた温度で冷蔵保存します。

ただし、

冷蔵庫ならどこでもよいわけではありません。

特に注意したいのが、凍結です。

冷蔵庫の冷気が直接当たる場所や、冷凍室の近くなどでは、インスリンが凍ってしまう可能性があります。

インスリンは、

「冷やしておけばおくほどよい薬」ではありません。

使用している製品の説明書や、医療機関・薬局から受けた保管方法に従いましょう。

インスリンを凍らせてはいけないの?

はい。

インスリンは凍結を避ける必要があります。

「冷蔵保存だから、冷凍庫ならもっと安心」

ではありません。

一度凍結した、あるいは凍結した可能性のあるインスリンは、見た目だけでは問題があるかどうか判断できない場合があります。

そのまま自己判断で使用せず、医療機関や薬剤師に相談してください。

使用中のインスリンも冷蔵庫に入れるの?

ここは製品によって異なります。

使用を開始したインスリン製剤には、室温で保管できるものも多くあります。

ただし、

保管できる温度や、使用開始後に使用できる期間は製品によって違います。

そのため、

「インスリンは開封したら○日間」

とすべて同じように覚えるのはおすすめできません。

自分が使用しているインスリンの、

保管方法
使用開始後の期限
避けるべき温度

を確認しておきましょう。

分からない場合には、医師、看護師、薬剤師に確認してください。

「室温保存」ならどこに置いてもいい?

いいえ。

室温で保管できる製品であっても、

高温になる場所は避ける必要があります。

たとえば、

直射日光が当たる窓際
暖房器具の近く
夏の車内
高温になるバッグの中

などは適切ではありません。

「室温保存できる」

ということと、

「暑い場所に置いても大丈夫」

ということは違います。

夏の車内にインスリンを置いてもいい?

これは避けましょう。

夏の車内は非常に高温になることがあります。

短時間のつもりでも、インスリンが高温にさらされる可能性があります。

インスリンを車の中に置いたまま離れないようにしましょう。

特に夏場は、

「バッグに入れてあるから大丈夫」

とは限りません。

バッグごと高温になるからです。

冬なら車の中に置いてもいい?

冬にも注意が必要です。

寒い地域では車内の温度が非常に低くなり、インスリンが凍結する可能性があります。

つまり、

インスリンは「暑さ」だけでなく「凍結」にも注意が必要です。

一年を通して、車内に長時間置きっぱなしにしない方が安全です。

保冷剤と一緒に入れれば安心?

旅行や外出のとき、

「冷やした方がいいから」

とインスリンを保冷剤に直接つけてしまうことがあります。

しかし、これには注意が必要です。

インスリンが保冷剤に直接触れると、冷えすぎて凍結する可能性があります。

保冷が必要な場合でも、インスリンを直接保冷剤に接触させないなど、適切な方法で持ち運ぶ必要があります。

どの程度の保冷が必要かは、製品や移動時間などによって異なります。

旅行前に薬剤師などへ確認しておくと安心です。

外出するときはどうすればいい?

日常の短時間の外出であれば、使用している製品の保管条件を守ったうえで持ち歩きます。

大切なのは、

直射日光、高温、凍結を避けること

です。

夏場にはバッグを炎天下に放置しない。

冬場には極端に冷える場所に長時間置かない。

こうした基本を覚えておきましょう。

また、インスリンだけではなく、低血糖に備えてブドウ糖なども携帯しておくと安心です。

旅行にインスリンを持っていける?

もちろん持っていけます。

インスリン治療をしているからといって、旅行ができないわけではありません。

ただし、普段とは生活環境が変わるため、少し準備が必要です。

旅行前には、

必要なインスリン
注射針などの器具
血糖測定に必要なもの
ブドウ糖など低血糖への備え

を確認しておきましょう。

長期間の旅行では、予備についても考えておくと安心です。

**「旅行だから治療を休む」のではなく、「旅行先でも続けられるように準備する」**と考えましょう。

飛行機に乗るときはどうする?

飛行機で旅行する場合には、インスリンや注射器具を持って移動することになります。

インスリンは温度管理が必要な薬です。

また、預けた荷物が遅れたり、手元から離れたりする可能性もあります。

そのため、必要なインスリンや注射器具は手元で管理できるよう準備することが大切です。

海外旅行では、インスリンや注射針について説明を求められる場合に備え、必要に応じて薬の情報や医療機関からの書類などを準備しておくと安心です。

航空会社や渡航先によって取り扱いが異なることもあるため、旅行前に確認しておきましょう。

海外旅行では時差にも注意

海外旅行では、インスリンの保管だけでなく、

時差

も問題になることがあります。

特に1日に複数回インスリンを使用している方では、いつもの注射時刻と現地時間がずれることがあります。

この調整方法は、使用しているインスリンや旅行先によって異なります。

自己判断で注射を飛ばしたり、まとめて注射したりしないでください。

時差の大きい地域へ旅行する場合には、出発前に主治医へ相談しておきましょう。

インスリンの見た目が変だったら?

インスリン製剤には、もともと透明なものもあれば、使用前に混ぜる必要があるタイプなどもあります。

そのため、

「濁っているから全部異常」

とは限りません。

一方で、

いつもと見た目が違う
異物のようなものがある
保管方法に問題があった可能性がある

といった場合には、自己判断で使用せず、薬剤師や医療機関に確認してください。

普段の正常な状態を知っておくことも大切です。

使用開始日を書いておくと便利です

使用中のインスリンは、製品ごとに使用できる期間が決められています。

ところが毎日使っていると、

「このペン、いつから使い始めたんだっけ?」

と分からなくなることがあります。

そのため、必要に応じて、

使用を開始した日を分かるようにしておく

と管理しやすくなります。

特に複数種類のインスリンを使っている方では役立ちます。

インスリンをなくした・忘れたらどうする?

旅行先で、

「インスリンを家に忘れてきた」

ということも起こり得ます。

このようなとき、特に1型糖尿病の方では、

「今日は注射しなくても大丈夫だろう」

と自己判断しないことが重要です。

インスリンが不足すると、重い高血糖や糖尿病性ケトアシドーシスにつながる可能性があります。

インスリンを紛失した、破損した、使用できなくなったなどの場合には、早めに医療機関などへ相談してください。

災害への備えも大切です

日本では、地震や台風などによって普段通りに医療機関へ行けなくなる可能性もあります。

インスリン治療中の方は、

自分が使用しているインスリンの名前
使用量
注射する時間
ほかに使用している薬

などが分かるようにしておくと役立ちます。

お薬手帳などを利用するのもよいでしょう。

非常時にも、

「自分がどんな治療をしているのか説明できる」

ことは大切です。

インスリンの保管で覚えておきたい3つのポイント

① インスリンは高温と凍結を避けましょう

② 未使用・使用中で保管方法が異なり、使用開始後の期限も製品によって違います

③ 旅行や長時間の外出では、保管方法だけでなく予備・低血糖対策・注射スケジュールも確認しましょう

まとめ

インスリンは温度の影響を受ける薬です。

そのため、

高温にしない。
凍らせない。
直射日光を避ける。

という基本を覚えておきましょう。

ただし、

「インスリンは全部、いつでも冷蔵庫に入れておけばいい」

というわけではありません。

未使用か使用中かによって保管方法が異なり、製品によって使用開始後の取り扱いや期限も違います。

分からない場合には、自分のインスリンの名前を確認して、医師や薬剤師に聞いてみましょう。

そして、インスリンを使っているからといって、

旅行に行けない。
遠出できない。
スポーツができない。

ということではありません。

必要なのは、生活を諦めることではなく、安全に続けるための準備です。

インスリンに生活を支配されるのではなく、インスリンを上手に生活の中へ取り入れる。

保管方法を知っておくことも、そのための大切な一歩です。