糖尿病のために運動を始めて、
「毎日歩いているのに体重が減らない」
「こんなに運動しているのに、体重計の数字が変わらない」
「体重が減らないなら、運動しても意味がないのでは?」
と思ったことはありませんか?
せっかく運動を続けているのに体重が変わらないと、がっかりしてしまうかもしれません。
しかし、
体重が減らないからといって、運動に意味がないわけではありません。
運動には、体重を減らすこと以外にも大切な役割があります。
運動すれば必ず体重が減る?
運動するとエネルギーを使います。
そのため、
「運動すれば、その分だけ体重が減る」
と思われがちです。
しかし、実際の体重は運動だけで決まるわけではありません。
食事の量や内容、日常生活での活動量、睡眠、年齢、筋肉量など、さまざまなものが関係します。
また、運動を始めたことで食欲が増えたり、
「今日は運動したから少しくらい食べても大丈夫」
と無意識に食事量が増えたりすることもあります。
そのため、運動を始めても体重がすぐには変わらないことがあります。
体重は1日の中でも変化します
体重計の数字は、体脂肪だけを表しているわけではありません。
食事や飲水、排便、体内の水分量などによっても変化します。
そのため、
「昨日より500g増えた」
「3日歩いたのに体重が減らない」
という短期間の変化だけで、運動の効果を判断するのは難しいものです。
1回ごとの体重に一喜一憂しすぎないことも大切です。
体重が減らなくても血糖値にはよい影響があります
運動すると筋肉がブドウ糖を利用します。
また、運動を続けることでインスリンが働きやすくなり、血糖管理の改善につながることがあります。
このような変化は、
体重が大きく減らなくても起こることがあります。
つまり、
「体重が減らなかった=糖尿病に対する効果がなかった」
とは限りません。
体重計の数字だけで運動の価値を判断しないようにしましょう。
運動の目的は「やせること」だけではありません
運動には、血糖値や体重以外にもさまざまな意味があります。
たとえば、
・筋力や体力を維持する
・心臓や血管の健康を保つ
・歩く力を維持する
・転倒しにくい体をつくる
・日常生活を送りやすくする
・気分転換になる
などです。
特に年齢を重ねると、体重を減らすことだけではなく、筋肉を保つことも大切になってきます。
「体重が減れば減るほどよい」わけではありません
糖尿病があると、
「とにかく体重を減らさなければ」
と思ってしまうことがあります。
確かに、体重を減らすことが治療に役立つ方もいます。
しかし、すべての糖尿病患者さんが減量すればよいわけではありません。
特に高齢の方や、もともとやせている方では、無理な食事制限によって体重だけでなく筋肉まで減ってしまうことがあります。
筋肉が減ると、歩く力が低下したり、転倒しやすくなったり、日常生活に影響したりすることがあります。
「糖尿病だから、やせればやせるほどよい」ではありません。
年齢や体格、健康状態に合った体重を考えることが大切です。
運動して筋肉を保つことも大切
ウォーキングなどの有酸素運動だけでなく、筋肉を使う運動を取り入れることも大切です。
特別な器具を使った激しい筋力トレーニングでなくても、
椅子から立ったり座ったりする。
かかとの上げ下げをする。
日常生活の中で体を動かす。
といったことから始めることもできます。
体重計の数字だけでは、こうした筋力や体力の変化は分かりません。
「体重は変わらないけれど、以前より歩くのが楽になった」
という変化も、立派な成果です。
「もっと運動すればやせる」と頑張りすぎない
体重が減らないと、
「運動が足りないんだ」
「もっと長く歩こう」
「毎日休まず運動しよう」
と考えてしまうことがあります。
しかし、急に運動量を増やすと、疲労やけがにつながることがあります。
また、運動を「体重を減らすための罰」のようにしてしまうと、長く続けることが苦しくなります。
体重が減らないからといって、むやみに運動量を増やす必要はありません。
体重以外の変化にも目を向けてみましょう
運動を続けているなら、体重計以外の変化も見てみましょう。
たとえば、
「以前より長く歩けるようになった」
「階段が少し楽になった」
「疲れにくくなった」
「食後に歩く習慣ができた」
「血糖値やHbA1cが改善してきた」
などです。
数字に表れにくい変化もあります。
「何kg減ったか」だけが運動の成果ではありません。
体重を減らしたい場合は運動だけで考えない
減量が必要な方でも、運動だけで体重を減らそうとする必要はありません。
食事、運動、睡眠、生活習慣、糖尿病の治療などを含めて考えることが大切です。
「運動しているのに体重が減らないから、もっと運動する」
ではなく、
なぜ体重が変わらないのかを一緒に考える
という視点を持ちましょう。
必要に応じて、主治医や管理栄養士などに相談してください。
こんな体重変化には注意しましょう
運動や食事を変えていないのに体重が急に減ってきた場合には、
「糖尿病がよくなった」
とは限りません。
血糖値が非常に高い状態や、ほかの病気などによって体重が減少することもあります。
反対に、短期間で急に体重が増えた場合にも、単純な体脂肪の増加ではなく、体内に水分がたまっている場合などがあります。
理由の分からない急な体重変化がある場合には、主治医に相談してください。
運動と体重について覚えておきたい3つのポイント
① 運動をしても、すぐに体重が減るとは限りません
② 体重が減らなくても、運動には血糖管理、筋力、体力などへの大切な効果があります
③ 「体重を減らすこと」だけを運動の目標にしないようにしましょう
まとめ
糖尿病のために運動を始めたのに体重が減らないと、
「頑張っているのに意味がない」
と感じてしまうかもしれません。
しかし、体重計に表示される数字は、運動の効果の一部分しか表していません。
体重が変わらなくても、
歩けるようになった。
筋力が保てている。
体力がついた。
血糖値が改善した。
という変化が起きているかもしれません。
特に年齢を重ねるほど、「体重を減らす」だけではなく「筋肉と体力を保つ」ことも重要になります。
ですから、
「何kg減ったか」だけで運動を評価しないでください。
運動は、体重計の数字を減らすためだけに行うものではありません。
これからも自分の体で元気に生活していくために、無理なく続けられる運動を。
それが糖尿病の運動療法で大切な考え方です。
