インスリン注射はどこに打つ?毎回同じ場所ではだめ?正しい注射部位をわかりやすく解説

インスリン注射を始めると、

「お腹のどこに打てばいいの?」
「毎回同じ場所に打っても大丈夫?」
「腕や太ももでもいい?」
「注射したところが硬くなってきたけれど大丈夫?」

と疑問に思うことがあります。

インスリン注射は毎日行うことも多いため、

「どこに、どのように打つか」

はとても大切です。

特に覚えておきたいのは、

毎回まったく同じ場所に打ち続けないこと

です。

同じ場所への注射を繰り返すと、皮下にしこりのような変化ができ、インスリンの効き方が不安定になることがあります。

インスリンはどこに注射するの?

インスリンは、基本的に皮下組織に注射する薬です。

一般的な注射部位として、

お腹
太もも
上腕
お尻

などがあります。

ただし、どの場所でも好きなように打てばよいというわけではありません。

自分で安全に注射しやすい場所や、使用しているインスリンなども考えて、医療スタッフから説明された部位に注射します。

お腹に注射しても大丈夫?

「お腹に針を刺す」と聞くと、

「内臓まで針が届かないの?」

と心配になる方もいます。

インスリン注射に使用する針は非常に短く、皮下に注射するために作られています。

正しい方法で使用すれば、通常のインスリン自己注射で内臓まで針が届くようなものではありません。

初めての方は、医師や看護師などから実際の器具を使って説明を受けましょう。

毎回同じところに打ってはいけないの?

インスリン注射に慣れてくると、

「この場所が一番打ちやすい」

という場所が見つかります。

すると、つい毎回ほとんど同じところに注射してしまうことがあります。

しかし、

まったく同じ場所への注射を繰り返すのは避けましょう。

同じ場所に何度も注射すると、皮下脂肪が盛り上がったり硬くなったりすることがあります。

これを脂肪肥厚と呼びます。

注射したところに「しこり」ができることがあります

脂肪肥厚ができると、

硬い
少し盛り上がっている
ゴムのような感じがする
周囲と触った感じが違う

などの変化に気づくことがあります。

ところが、こうした場所は痛みを感じにくくなることがあります。

そのため、

「ここは痛くないから打ちやすい」

と、さらに同じ場所へ注射を繰り返してしまうことがあります。

これが問題です。

しこりに注射すると何が問題なの?

脂肪肥厚などがある場所にインスリンを注射すると、インスリンの吸収が安定しないことがあります。

すると、

「同じ量のインスリンを打っているのに、日によって血糖値が違う」

ということにつながる場合があります。

血糖値が高い日がある一方で、予想以上に下がることもあります。

そのため、

血糖値が安定しないときには、インスリンの量だけでなく注射部位を確認することも大切です。

注射する場所を少しずつずらしましょう

脂肪肥厚を防ぐためには、

注射する位置を毎回少しずつ変える

ことが大切です。

これを「ローテーション」といいます。

たとえば、お腹に注射する場合でも、

毎回まったく同じ一点に打つのではなく、前回とは場所をずらして注射します。

「昨日ここだったから、今日は少し離れたところ」

というように考えると分かりやすいでしょう。

ただし、具体的な間隔やローテーション方法については、使用している器具なども含めて医療スタッフから説明を受けてください。

毎回「お腹→腕→太もも」と変えればいい?

ここは少し注意が必要です。

「場所を変える」と聞くと、

今日はお腹。
明日は太もも。
次は腕。

と、大きく注射部位を変えた方がよいと思うかもしれません。

しかし、インスリンは注射する部位によって吸収のされ方が異なることがあります。

そのため、

自己判断で注射する体の部位を毎回大きく変えるより、医療スタッフから指示された部位の中で注射位置をずらしていく

方が分かりやすい場合があります。

「どの範囲でずらせばいいか分からない」という場合には、診察時に確認してください。

おへそのすぐ近くでもいい?

お腹は自己注射しやすい場所ですが、おへそのすぐ近くや、皮膚に異常がある場所などは避けます。

また、

傷がある
赤くなっている
腫れている
硬くなっている
炎症がある

といった場所への注射も避けましょう。

手術の傷あとなどがある場合には、どの範囲を避けるべきか医療スタッフに確認すると安心です。

あざがあるところに打ってもいい?

注射を続けていると、小さな内出血ができることがあります。

目立つ内出血や痛み、腫れなどがある場所は避け、別の場所に注射しましょう。

注射後に少量の出血がみられることはありますが、出血が止まりにくい、腫れが強いなどの場合には医療スタッフに相談してください。

注射部位は自分で見ることも大切です

毎日注射していると、注射そのものが習慣になり、皮膚を見ることが少なくなることがあります。

ときどき、

赤くなっていないか
硬くなっていないか
盛り上がっていないか
左右で違いがないか

を確認してみましょう。

可能であれば、見るだけではなく軽く触って確認することも役立ちます。

自分では分かりにくい場合には、診察時に医師や看護師に見てもらって構いません。

しこりを見つけたらどうする?

注射している場所にしこりのようなものを見つけた場合には、

その場所への注射を避け、医療スタッフに相談してください。

ただし、ここで注意があります。

長い間しこりのある場所へ注射していた方が、正常な皮下組織へ注射するようになると、インスリンの吸収が変化することがあります。

その結果、これまでと同じ量でも血糖値が下がりやすくなる可能性があります。

そのため、

「しこりがあったから今日から場所を変えよう」とする場合にも、特に血糖値の変化や低血糖に注意することが大切です。

必要に応じて主治医や医療スタッフに相談しましょう。

注射する場所を変えたら血糖値が下がった?

これまで脂肪肥厚のある場所に注射していた場合、正常な場所に変えることでインスリンの吸収が変わることがあります。

すると、

「同じ量なのに以前より血糖値が下がる」

ということもあります。

このようなとき、

自己判断でインスリンの量を変更しないでください。

低血糖が起こった場合や血糖値が大きく変化した場合には、主治医に相談しましょう。

注射の針は毎回交換した方がいい?

インスリン注射に使用する針は、基本的に1回ごとの使用を前提としています。

「まだ刺せるから」

と同じ針を何度も使うことはおすすめできません。

安全で適切な注射を続けるためにも、使用している注射器具の説明や医療スタッフの指導に従いましょう。

また、使用済みの針は家庭ごみとして自由に捨ててよいとは限りません。

使用済み針の処分方法は、医療機関や薬局から説明された方法に従ってください。

注射したあとに揉んだ方がいい?

「薬をよく効かせるために揉んだ方がいいのでは?」

と思う方もいます。

しかし、インスリン注射後に強く揉む必要はありません。

出血がある場合には、こすらずに清潔なもので軽く押さえます。

注射後の具体的な対応についても、使用している器具の説明に従いましょう。

注射が痛いときは我慢しなくていい

「インスリン注射は毎日するものだから、痛くても仕方がない」

と我慢している方もいます。

しかし、毎回かなり痛い場合には、

注射部位
注射方法
針の扱い
同じ場所への繰り返し

などを一度確認してみる価値があります。

痛みを我慢することが、正しいインスリン治療ではありません。

医師や看護師に実際の注射方法を見てもらうことで、改善できることもあります。

長年インスリンを使っている方ほど再確認を

インスリンを何年も使用していると、

「もう注射の方法は分かっている」

と思うかもしれません。

しかし、長く続けているからこそ、いつの間にか同じ場所に注射する習慣ができていることがあります。

血糖値が以前より不安定になったときには、

薬の量や食事だけでなく、

「いつもどこに注射しているか」

も確認してみましょう。

注射手技をときどき見直すことは、初心者だけに必要なことではありません。

注射部位について覚えておきたい3つのポイント

① インスリンは皮下に注射し、毎回まったく同じ場所に打ち続けないようにしましょう

② 硬い・盛り上がっているなどの「しこり」がある場所への注射は避けましょう

③ 血糖値が不安定なときには、インスリン量だけでなく注射部位や注射方法も確認しましょう

まとめ

インスリン治療では、

「何単位打つか」

に意識が向きやすいものです。

しかし、

「どこに打つか」も同じくらい大切です。

毎回同じ場所に注射していると、皮下に脂肪肥厚などの変化が起こることがあります。

その場所に注射を続けると、インスリンの吸収が不安定になる場合があります。

だから、

同じ場所に打ち続けない。
硬いところには打たない。
ときどき自分の注射部位を見る・触る。

この3つを覚えておきましょう。

そして、

「血糖値が安定しないからインスリンを増やさなければ」

と考える前に、注射する場所や方法に問題がないか確認することも大切です。

毎日の注射だからこそ、

頑張って我慢するのではなく、できるだけ安全で負担の少ない方法を身につける。

分からないことや気になるしこりがあれば、診察時に遠慮なく医師や看護師に相談してください。