糖尿病で足がしびれるのはなぜ?糖尿病性神経障害をわかりやすく解説

糖尿病の患者さんから、

「最近、足の先がしびれます。糖尿病のせいでしょうか?」
「足の裏に何か貼りついているような感じがします」
「夜になると足がピリピリして眠れません」
「痛くないので、足に傷があっても大丈夫ですか?」

と相談されることがあります。

糖尿病では、長期間の高血糖などによって神経が障害されることがあります。

これを糖尿病性神経障害といいます。

糖尿病の代表的な合併症の一つです。

ただし、

「糖尿病がある人の足のしびれ=すべて糖尿病性神経障害」ではありません。

ほかの病気でもしびれは起こるため、症状がある場合には原因を確認することが大切です。

糖尿病性神経障害とは?

私たちの体には、脳や脊髄から全身へ情報を伝える神経が張り巡らされています。

神経は、

痛みや温度を感じる
手足を動かす
内臓の働きを調節する

など、さまざまな役割を担っています。

糖尿病では、高血糖などの影響によって末梢神経が障害されることがあります。

特に症状が出やすいのが足の先です。

なぜ足の先から症状が出るの?

糖尿病性神経障害では、一般に長い神経から影響を受けやすいため、足の先から左右対称に症状が現れることがあります。

最初は、

足の指がしびれる
足の裏がピリピリする

といった症状から始まり、進行すると足首からさらに上へ広がることがあります。

そのため、

「靴下をはいている部分に症状が出る」

ような分布になることがあります。

どんな症状が出るの?

糖尿病性神経障害の症状は人によってさまざまです。

たとえば、

  • しびれる
  • ピリピリする
  • ジンジンする
  • 焼けるように痛む
  • 電気が走るように感じる
  • 足の裏に紙や布が貼りついているように感じる
  • 感覚が鈍くなる

などがあります。

夜間に症状が強くなり、睡眠の妨げになることもあります。

一方で、ほとんど自覚症状がないまま感覚が低下していることもあります。

「痛い」より「痛くない」方が問題になることも

神経障害というと、

「足が痛くなる病気」

と思うかもしれません。

しかし、糖尿病ではむしろ痛みを感じにくくなることが問題になる場合があります。

たとえば足に、

靴ずれ
小さな切り傷
やけど
水ぶくれ

ができても気づかないことがあります。

通常なら「痛いから気づく」はずの傷を、神経障害があると見逃してしまうことがあるのです。

そのまま歩き続けると、傷が悪化することがあります。

そのため、

「痛くないから大丈夫」とは限りません。

お風呂や湯たんぽにも注意

足の温度感覚が低下していると、熱さにも気づきにくくなることがあります。

そのため、

熱い湯につかる
湯たんぽを直接足に当てる
使い捨てカイロを長時間当てる

などによって、知らないうちにやけどをすることがあります。

神経障害が疑われる方は、足を直接熱源に当て続けないよう注意しましょう。

足のしびれがあれば糖尿病性神経障害?

必ずしもそうではありません。

足のしびれには、

腰の病気
神経の圧迫
ビタミン不足
ほかの末梢神経障害
血流の問題

など、さまざまな原因があります。

また、

片足だけ急にしびれた
手だけに症状がある
体の片側に突然しびれが出た

といった症状は、典型的な糖尿病性神経障害とは異なることがあります。

「糖尿病だから、しびれは全部糖尿病のせい」

と決めつけないことが大切です。

病院ではどのように調べるの?

糖尿病性神経障害では、まず症状や経過を確認します。

診察では、

足の感覚
振動を感じる力
腱反射

などを確認することがあります。

足の感覚低下を調べるために、細い器具を足に当てるモノフィラメント検査などを行うこともあります。

必要に応じて、ほかの神経疾患がないか追加の検査を行います。

神経障害は足だけに起こるの?

糖尿病による神経障害は、手足の感覚だけではありません。

体の内臓などを自動的に調節している自律神経が影響を受けることもあります。

これを糖尿病性自律神経障害といいます。

自律神経が障害されるとどうなる?

自律神経は、

心臓
血圧
胃腸
膀胱
発汗

など、さまざまな働きに関係しています。

そのため障害されると、

立ち上がったときにふらつく
胃の動きが悪くなる
便秘や下痢が起こる
排尿に問題が起こる
発汗の状態が変化する

など、さまざまな症状がみられることがあります。

ただし、これらの症状には糖尿病以外の原因もあります。

症状だけで「自律神経障害」と決めつけることはできません。

低血糖に気づきにくくなることもある?

糖尿病の治療中に低血糖を繰り返すと、低血糖の警告症状を感じにくくなることがあります。

また、自律神経の機能が低下している場合にも、低血糖時の症状が分かりにくくなることがあります。

インスリンや低血糖を起こす可能性のある薬を使用している方では特に注意が必要です。

「低血糖になっても症状が出ない」

という場合には、主治医へ相談してください。

神経障害は治るの?

糖尿病性神経障害では、血糖管理などを行い、これ以上悪化しないようにすることが重要です。

痛みが強い場合には、症状を軽くするための薬を使用することもあります。

ただし、

「血糖値を下げれば、しびれがすぐ消える」

とは限りません。

神経の回復には時間がかかることがありますし、進行した神経障害では症状が残る場合もあります。

だからこそ、早い段階から血糖管理と足のチェックを続けることが大切です。

足は毎日見た方がいい?

特に足の感覚が低下している方では、日頃から足を見る習慣が役立ちます。

確認したいのは、

  • 傷
  • 靴ずれ
  • 水ぶくれ
  • 赤み
  • 腫れ
  • 変色

などです。

足の裏は自分では見にくいため、鏡を使ったり、必要であれば家族などに確認してもらったりする方法もあります。

「痛くなったら見る」のではなく、「痛くなくても見る」

という考え方が大切です。

傷を見つけたらどうする?

小さな傷だからといって放置しないことが大切です。

糖尿病では、神経障害だけでなく血流低下などが重なると、傷が治りにくくなる場合があります。

特に、

赤みや腫れが広がる
膿が出る
皮膚の色がおかしい
発熱を伴う
傷がなかなか治らない

などの場合には、早めに医療機関へ相談してください。

血糖値を良くすれば予防できる?

適切な血糖管理は、糖尿病性神経障害の発症や進行を抑えるために重要です。

ただし、

「神経障害を防ぐためにHbA1cをできるだけ低くする」

という意味ではありません。

低血糖を繰り返さないことも重要です。

その人の年齢や治療内容、合併症などに応じて、無理のない血糖目標を考えます。

しびれを我慢しなくてもいい

足のしびれや痛みがあっても、

「糖尿病だから仕方ない」

と長期間我慢している方がいます。

しかし、症状によって睡眠や日常生活に支障が出ている場合には、治療できることがあります。

また、糖尿病以外の病気が原因になっている可能性もあります。

新しくしびれが出た場合や症状が強くなっている場合には、主治医へ相談してください。

今日覚えてほしい3つのこと

① 糖尿病性神経障害では、足先のしびれや痛みだけでなく、感覚が鈍くなることがあります

② 「痛くない=大丈夫」ではありません。感覚が低下すると足の傷に気づきにくくなります

③ 足のしびれには糖尿病以外の原因もあるため、すべてを糖尿病のせいと決めつけないことが大切です

まとめ

糖尿病では、高血糖などの影響によって神経が障害されることがあります。

代表的な症状は、

しびれ
ピリピリした痛み
焼けるような痛み
感覚の低下

などです。

しかし、糖尿病性神経障害で特に注意したいのは、

「痛みがあること」だけではなく、「痛みを感じなくなること」です。

足に傷ができても気づかず、悪化してしまうことがあります。

また、糖尿病による神経障害は足だけでなく、自律神経に影響することもあります。

一方で、足のしびれの原因は糖尿病だけではありません。

だからこそ、

「糖尿病だから仕方ない」と決めつけず、症状があれば原因を確認すること。

そして感覚が低下している場合には、痛みを頼りにせず、自分の目で足を確認することが大切です。

参考文献・情報源