糖尿病の薬を飲み忘れたらどうする?2回分まとめて飲んでもいい?

糖尿病の薬を毎日飲んでいると、

「朝の薬を飲み忘れた」
「昼になってから気づいた」
「飲んだかどうか分からなくなった」
「昨日飲み忘れたから、今日は2回分飲んだ方がいい?」

ということがあります。

毎日続ける治療ですから、薬を飲み忘れることは誰にでも起こり得ます。

そんなときにまず覚えておきたいのは、

飲み忘れた分を取り戻そうとして、自己判断で2回分をまとめて飲まないこと

です。

糖尿病の薬にはさまざまな種類があり、作用する仕組みや時間も異なります。

そのため、

「糖尿病の薬を忘れたら必ずこうする」という一つのルールはありません。

飲み忘れに気づいたらどうする?

まず確認したいのは、

「どの薬を、いつ飲む予定だったのか」

です。

そして、

いつ飲み忘れたのか
いつ気づいたのか
次の服用時間までどのくらいあるのか
食事との関係はどうか

などによって対応が変わることがあります。

薬によっては食事とのタイミングが重要なものもあります。

そのため、

「気づいたらすぐ飲めばよい」とも限りません。

薬を処方されたときに説明された方法や、薬の説明書に従ってください。

分からない場合には、医師や薬剤師に確認しましょう。

なぜ2回分まとめて飲んではいけないの?

「昨日1回飲み忘れたから、今日は2回分飲めば同じでは?」

と思うかもしれません。

しかし、薬は単純な足し算ではありません。

一度に多く服用すると、薬によっては作用が強く出たり、副作用の危険性が高くなったりすることがあります。

糖尿病の薬の中には、低血糖を起こす可能性のある薬もあります。

そのため、

飲み忘れた分を次の服用時にまとめて飲むことは、原則として避けてください。

「飲んだかどうか分からない」ときは?

これもよくあります。

毎日同じ時間に薬を飲んでいると、

「今日の朝、飲んだかな?」

と分からなくなることがあります。

このとき、

「たぶん飲んでいない」

と考えてもう一度服用すると、実際にはすでに飲んでいた場合、重複して服用することになります。

反対に、

「たぶん飲んだ」

と決めつけることにも注意が必要です。

飲んだかどうか分からない場合にも、自己判断でもう1回飲まず、薬ごとの指示を確認してください。

迷う場合には薬剤師や医療機関へ相談しましょう。

糖尿病の薬は全部同じではありません

「糖尿病の薬」とひとことで言っても、現在はさまざまな種類があります。

薬によって、

血糖値を下げる仕組み
低血糖の起こりやすさ
食事との関係
服用する回数や時間
腎機能などによる使い方

が異なります。

そのため、

「友人は忘れたらすぐ飲んでいるから、自分も同じでいい」

とは限りません。

同じ糖尿病でも、他の人の薬の飲み方を自分に当てはめないことが大切です。

食前の薬を食後に思い出したら?

糖尿病の薬の中には、食事とのタイミングが特に重要なものがあります。

たとえば、

「食前に飲むように言われていたのに、食事が終わってから気づいた」

という場合です。

このようなとき、

「少しくらい遅れても同じだろう」

と自己判断で服用しない方がよい薬もあります。

食前・食直前・食後などの指示には意味があります。

具体的な対応は薬によって違うため、自分が使用している薬について確認してください。

飲み忘れたら血糖値はすぐ上がる?

1回薬を飲み忘れたからといって、必ずすぐに血糖値が大きく上昇するとは限りません。

血糖値は、

食事
運動
体調
ストレス
睡眠
ほかの薬

など、さまざまな影響を受けています。

薬の種類によって作用する時間も違います。

そのため、

「1回忘れた=すぐに糖尿病が悪化した」

と考えて必要以上に焦る必要はありません。

一方、飲み忘れが何度も続けば、血糖管理に影響する可能性があります。

血糖値が高かったら追加で薬を飲んでいい?

これは避けてください。

薬を飲み忘れたあとに血糖値を測ると、

「いつもより高い」

ことがあるかもしれません。

しかし、

血糖値が高いからといって、自己判断で糖尿病の薬を追加してはいけません。

糖尿病の薬は、血糖値を見ながらその場で自由に増減する薬ばかりではありません。

医師から具体的な調整方法を指示されている場合には、その指示に従います。

指示を受けていない場合には、自己判断で追加しないでください。

「薬を忘れたから食事を減らそう」は必要?

薬を飲み忘れたことで、

「今日はご飯を半分にしよう」

「夕食を抜こう」

と考える方もいます。

しかし、薬の飲み忘れを食事制限で帳尻合わせしようとする必要はありません。

極端に食事を減らすと、使用しているほかの薬やインスリンによっては低血糖につながることもあります。

特に高齢の方や、もともとやせている方では、過度な食事制限は栄養不足や筋肉量の低下にもつながります。

「薬を忘れた罰として食事を減らす」ような考え方はしないようにしましょう。

低血糖を起こす薬には特に注意

糖尿病の薬は、すべてが同じように低血糖を起こすわけではありません。

しかし、一部の糖尿病薬やインスリンでは低血糖に注意が必要です。

低血糖では、

冷や汗
手のふるえ
動悸
強い空腹感
ふらつき
集中しにくい

などの症状がみられることがあります。

もし間違って薬を重複して服用してしまった場合には、

「何を、どれだけ、何時ごろ飲んだのか」

を確認し、必要に応じて医療機関や薬剤師に相談してください。

間違えて2回飲んでしまったら?

「飲んだことを忘れて、もう一度飲んでしまった」

ということもあります。

この場合、

すべての糖尿病薬について同じ対応ができるわけではありません。

薬の種類や量、ほかに使用している薬、年齢、腎機能などによって注意すべきことが違います。

自己判断で、

「食事を多めにすれば大丈夫」

「次の薬を全部中止しよう」

などと対応せず、医療機関や薬剤師へ相談してください。

強い体調不良や意識障害などがある場合には、救急対応が必要です。

飲み忘れが多いのは「意志が弱い」からではありません

薬を何度も忘れると、

「自分はだめだ」

と思ってしまう方がいます。

しかし、糖尿病では毎日薬を飲み続けることも多く、さらに血圧やコレステロールなど複数の薬を使用している方もいます。

薬の種類や回数が増えれば、管理が複雑になることがあります。

飲み忘れは、本人の意志だけの問題とは限りません。

大切なのは、

「もっと気をつけます」

だけで終わらせず、忘れにくい方法を考えることです。

飲み忘れを減らすための工夫

自分に合った方法を一つ取り入れるだけでも構いません。

たとえば、

  • 薬を飲む時間を毎日の生活習慣と結びつける
  • お薬カレンダーを利用する
  • 1回分ずつ整理できる薬ケースを利用する
  • スマートフォンのアラームを使う
  • 服用したらその場で記録する
  • 家族と確認方法を決める

などがあります。

ただし、薬によって保管方法などが異なる場合がありますので、薬ケースなどへ移してよいか分からない場合には薬剤師に確認してください。

薬が多すぎて管理できないときは相談していい

糖尿病だけでなく、

血圧
コレステロール
心臓病
腎臓病

などの薬も服用していると、薬の数が多くなることがあります。

「朝・昼・夕・寝る前で、もう何を飲んでいるか分からない」

という場合には、無理に一人で管理する必要はありません。

医師や薬剤師に、

「薬が多くて飲み忘れてしまいます」

と伝えてください。

治療上可能であれば、薬の種類や服用回数を整理できる場合もあります。

お薬手帳を活用しましょう

自分が飲んでいる糖尿病薬の名前をすべて覚えるのは大変です。

そこで役立つのがお薬手帳です。

病院や薬局を利用するときには、お薬手帳を持参すると、

どんな薬を使っているか
ほかの医療機関から何が処方されているか

を確認しやすくなります。

特に複数の医療機関を受診している方では大切です。

旅行や外出時にも注意

普段は忘れなくても、旅行や外食などで生活のリズムが変わると飲み忘れることがあります。

旅行前には、

必要な薬がそろっているか
旅行期間に対して薬の数が足りているか
いつ飲む薬なのか

を確認しておくと安心です。

海外旅行などで大きな時差がある場合には、薬によっては服用時間について確認が必要になることがあります。

事前に医師や薬剤師へ相談しておきましょう。

飲み忘れたときの対応を普段から確認しておく

薬を忘れたときに慌てて説明書を探すより、

普段から「この薬を忘れたらどうすればよいですか?」と確認しておく

のがおすすめです。

特に、

食事との関係が重要な薬
低血糖を起こす可能性のある薬
1日に複数回飲む薬

などについては、確認しておくと安心です。

薬の飲み忘れで覚えておきたい3つのポイント

① 飲み忘れた分を自己判断で2回分まとめて飲まない

② 飲み忘れたときの対応は薬によって異なるため、自分の薬について確認する

③ 飲み忘れを繰り返す場合には、自分を責めるのではなく、薬の管理方法や治療内容を医師・薬剤師と見直す

まとめ

糖尿病の薬を飲み忘れると、

「せっかく治療しているのに失敗してしまった」

と思うかもしれません。

しかし、毎日の治療です。

一度も忘れないことだけが大切なのではありません。

忘れてしまったときに、

2回分まとめて飲まない。
自己判断で薬を追加しない。
食事を極端に減らして帳尻合わせをしない。

そして、分からなければ医師や薬剤師に確認する。

これが大切です。

さらに、飲み忘れが何度も起こるのであれば、

「もっと頑張って覚えよう」だけで解決しようとしないこと。

薬の数や回数、生活リズム、管理方法などに、改善できるところがあるかもしれません。

糖尿病治療は、

薬を一度も忘れないことを競うものではありません。

忘れてしまった日があっても、安全に対応して、また普段の治療に戻る。

完璧な服薬より、無理なく続けられる服薬を目指していきましょう。