糖尿病の薬で副作用が心配。どんな症状が出たら相談した方がいい?

糖尿病の薬を飲み始めると、

  • 「副作用が怖いです。」
  • 「何か症状が出たらすぐやめた方がいいですか?」
  • 「ネットで怖い話を見て不安になりました。」
  • 「少し気持ち悪いけれど薬のせいでしょうか?」

と相談されることがあります。

薬には効果がある一方で、副作用が起こることもあります。

しかし、

「副作用があるから糖尿病薬は危険」というわけではありません。

大切なのは、

どんな症状に注意すればよいのか、どんな症状なら慌てなくてよいのかを知っておくことです。

この記事では、患者さんが知っておきたい糖尿病薬の副作用をわかりやすく説明します。

副作用とは「薬が合わない」という意味ではありません

副作用という言葉を聞くと、

「体に害が出た。」 「薬が合っていない。」

と思ってしまう方がいます。

でも、副作用にはさまざまな種類があります。

例えば、

  • 飲み始めだけに起こりやすい症状
  • 続けるうちに改善する症状
  • 注意して経過を見る症状
  • すぐ受診が必要な症状

があります。

副作用が起こったからといって、自分で薬を中止する必要があるとは限りません。

糖尿病薬で比較的よくみられる副作用

薬によって起こりやすい副作用は異なります。

症状例
胃のむかつき・吐き気飲み始めにみられることがあります。
下痢・便がゆるい飲み始めや増量時にみられることがあります。
食欲が落ちる一部の薬でみられることがあります。
尿が増える尿に糖を出す薬では起こりやすい特徴です。
低血糖インスリンや一部の薬では注意が必要です。

症状だけでは原因を判断できません。

薬によることもあれば、体調不良や他の病気が原因のこともあります。

飲み始めに胃が気持ち悪くなることがあります

一部の糖尿病薬では、

  • 吐き気
  • 胃の張り
  • 食欲低下

などがみられることがあります。

特に飲み始めや薬を増量したときに起こることがあります。

多くの場合は時間とともに改善することがあります。

こんなときは相談しましょう

  • 食事がほとんど食べられない。
  • 水分も飲めない。
  • 嘔吐が続く。
  • 症状が何日も改善しない。

無理に我慢し続ける必要はありません。

下痢やお腹の不調が出ることもあります

薬によっては、

  • 下痢
  • 軟便
  • お腹がゴロゴロする

ことがあります。

飲み始めに起こることがありますが、続けるうちに改善する場合もあります。

注意したいポイント

下痢が続くと脱水になることがあります。

特に高齢の方では注意が必要です。

尿が増える薬があります

一部の糖尿病薬では、尿に糖を排泄する働きがあります。

そのため、

  • 尿の回数が増える。
  • 尿量が増える。

ことがあります。

これは薬の働きによることがあります。

水分補給も大切です

汗を多くかく季節や発熱時には脱水になりやすくなります。

ただし、

心不全や腎臓病で水分制限がある方は自己判断で水分を増やさないでください。

性器や尿路の感染症に注意が必要な薬もあります

尿に糖が増える薬では、

  • 陰部のかゆみ
  • 排尿時の痛み
  • おりものの変化
  • 膀胱炎

などが起こることがあります。

女性だけでなく男性にも起こることがあります。

早めに受診した方がよい症状

  • 排尿時の強い痛み
  • 発熱を伴う尿路症状
  • 陰部の強い腫れや痛み

放置せず相談しましょう。

低血糖は知っておきたい副作用です

低血糖は、副作用というより治療中に注意すべき状態です。

症状は、

  • 冷や汗
  • 手のふるえ
  • 動悸
  • 強い空腹感
  • ぼんやりする

などです。

以前の記事でも詳しく説明しましたが、

インスリンやSU薬、グリニド薬では特に注意が必要です。

重い低血糖では

  • 意識障害
  • けいれん
  • 意識消失

が起こることがあります。

この場合は救急対応が必要です。

むくみや体重増加が気になることがあります

一部の薬では、

  • 足のむくみ
  • 急な体重増加

がみられることがあります。

特に注意したい症状

  • 数日で体重が2〜3kg増えた。
  • 足がパンパンにむくむ。
  • 息苦しさがある。

このような場合は早めに受診してください。

発熱や強い発疹は自己判断しない

薬を飲み始めたあとに、

  • 発熱
  • 全身の発疹
  • 口の中のただれ
  • 顔や唇の腫れ

などが出た場合は注意が必要です。

まれですが、重い薬疹やアレルギー反応の場合があります。

すぐ相談した方がよい症状

  • 全身に広がる発疹
  • 息苦しい
  • 顔や喉が腫れる
  • 高熱を伴う発疹

このような場合は速やかに医療機関を受診してください。

「体調が悪い=副作用」と決めつけない

糖尿病治療中でも、

  • 胃腸炎
  • 風邪
  • 熱中症
  • 尿路感染症

などになることがあります。

そのため、

薬のせいだと思い込まないことも大切です。

反対に、

「風邪だから大丈夫。」

と思っていた症状が副作用や脱水だったということもあります。

判断に迷う場合には相談してください。

こんな症状は早めに相談しましょう

当日〜数日以内に相談したい症状我慢せず医療機関へ連絡しましょう。

🟢 早めに相談食事ができない吐き気、下痢が続く、排尿時の痛み、陰部のかゆみ、むくみ、急な体重増加など
🔴 すぐ受診意識障害、けいれん、重い低血糖、息苦しさ、全身の発疹、高熱を伴う症状など

自己判断で薬を中止しないでください

副作用が心配になると、

「今日は飲まない。」 「しばらくやめて様子を見よう。」

としてしまう方がいます。

しかし、自己判断で中止すると血糖値が悪化することがあります。

相談するときに伝えると役立つこと

  • 薬の名前
  • 飲み始めた日
  • 症状が始まった日
  • どんな症状か
  • 発熱や食事量の変化があるか

これだけでも診断の助けになります。

シックデイでは薬の対応が変わることがあります

発熱や嘔吐、下痢などで食事や水分が十分に取れない日は、「シックデイ」と呼ばれます。

このような日は、一部の糖尿病薬では対応が変わることがあります。

以前の記事でも説明したように、

体調不良時の薬の飲み方は、あらかじめ主治医と確認しておくことが大切です。

副作用が怖くて薬を飲まない方が危険なこともあります

薬には副作用があります。

でも、高血糖が続くことにもリスクがあります。

高血糖が長く続くと、

  • 網膜症
  • 腎臓病
  • 神経障害
  • 心筋梗塞
  • 脳卒中

などの合併症につながることがあります。

副作用だけを怖がって薬をやめることは、安全とは限りません。

今日覚えてほしい3つのこと

① 糖尿病薬の副作用は薬によって異なります。

② 我慢して続ける必要はありませんが、自己判断で中止もしないようにしましょう。

③ 強い症状(意識障害・息苦しさ・全身の発疹・高熱など)は早めの受診が必要です。

まとめ

糖尿病の薬には、副作用が起こることがあります。

しかし、多くの副作用は早めに相談することで対応できるものです。

大切なのは、

「副作用が怖いから薬をやめる」ことではありません。

体調の変化に気づいたら、

「薬の影響かもしれません。」

と主治医や薬剤師に相談してください。

糖尿病治療は、薬を我慢して続ける治療でも、怖がってやめる治療でもありません。

困ったことがあれば相談しながら、安全に続けていくことが一番大切です。