糖尿病の薬を薬局でもらったとき、
「前と薬の名前が違う」
「ジェネリックに変わっていますと言われた」
「値段が安いけれど、本当に同じように効くの?」
「先発品の方が安心なのでは?」
と不安になることがあります。
結論からいうと、
国の承認を受けたジェネリック医薬品は、先発医薬品と治療上同等であることを確認したうえで使用されています。
糖尿病の薬でも、ジェネリック医薬品があるものは多くあります。
ただし、
「まったく何もかも同じ薬」という意味ではありません。
有効成分は同じでも、添加剤や錠剤の形、色、飲みやすさなどが異なることがあります。
その違いを知っておくと、ジェネリック医薬品への不安を減らすことができます。厚生労働省は、後発医薬品を先発医薬品と成分や規格などが同一で、治療学的に同等として承認される医薬品と説明しています。PMDAも、有効成分・効能効果が同じで、効き目と安全性は先発医薬品と同等としています。
- ジェネリック医薬品とは?
- なぜジェネリックは安いの?
- 本当に同じように効くの?
- それなら先発品とまったく同じ?
- 添加剤が違っても大丈夫?
- ジェネリックに変えたら血糖値が上がった?
- 名前が変わるので間違えやすいことがあります
- 同じ成分の薬を二重に飲まないように注意
- メーカーによって違いはある?
- 「前のジェネリックの方が飲みやすかった」と言ってもいい?
- ジェネリックを希望しなくてもいい?
- 糖尿病薬は長く使うことが多いからこそ費用も大切
- 「安い薬を選ぶのは治療を妥協すること」ではありません
- 逆に「必ずジェネリックにしなければいけない」わけでもありません
- インスリンにもジェネリックはある?
- 薬が変わったときに確認したい3つのこと
- お薬手帳が役立ちます
- 今日覚えてほしい3つのこと
- まとめ
ジェネリック医薬品とは?
ジェネリック医薬品は、日本語では後発医薬品と呼ばれます。
新しい薬が開発されると、最初に販売される薬を一般に先発医薬品と呼びます。
その後、特許期間などが終了したあとに、同じ有効成分を使って作られるのがジェネリック医薬品です。
つまり、
「安いから似た成分を使っている薬」ではなく、先発医薬品と同じ有効成分を含む薬
です。
PMDAでは、ジェネリック医薬品について、同じ有効成分を同じ量含み、同じ投与経路で、効能・効果や用法・用量も原則同じで、生物学的同等性試験などによって治療学的な同等性が確認されると説明しています。
なぜジェネリックは安いの?
「値段が安いということは、品質も低いのでは?」
と思う方がいます。
しかし、ジェネリック医薬品が安い主な理由は、
先発医薬品のように、新しい有効成分を一から発見して大規模な開発をする必要がないため
です。
すでに有効成分に関する情報が蓄積されているため、開発に必要な費用を抑えることができます。
価格が安いことと、薬の品質が低いことは同じ意味ではありません。
本当に同じように効くの?
ジェネリック医薬品は、先発医薬品と治療上同等であることを確認したうえで承認されます。
その確認の一つに、生物学的同等性試験があります。
これは簡単にいうと、
薬を体内に取り込んだときの有効成分の動きが、先発医薬品と同等の範囲にあるか
を確認するものです。
そのため、
「ジェネリックだから効き目が半分になる」
というようなものではありません。
PMDAでは、ジェネリック医薬品の品質について専門家による検討や実際の試験も行い、その結果を公表しています。
それなら先発品とまったく同じ?
ここは少し違います。
有効成分は同じでも、
錠剤の形
大きさ
色
味
コーティング
添加剤
などが異なることがあります。
そのため、ジェネリックへ変更したときに、
「薬が大きくなった」
「飲みにくくなった」
「色が違うので不安」
と感じることがあります。
逆に、ジェネリックの方が小さくなったり、飲みやすく工夫されていたりすることもあります。
添加剤が違っても大丈夫?
通常、承認された医薬品として必要な品質や安全性が確認されています。
ただし、まれに、
特定の添加剤にアレルギーがある
錠剤の形が変わって飲みにくい
胃腸症状などが気になる
ということがあります。
そのような場合には、
「ジェネリックだから我慢する」必要はありません。
薬剤師や主治医に相談してください。
ジェネリックに変えたら血糖値が上がった?
ジェネリックへ変更したあと血糖値が上がると、
「薬を変えたせいでは?」
と思うことがあります。
もちろん体調に変化があれば確認は必要ですが、血糖値は、
食事
運動
体重
感染症
睡眠
ストレス
糖尿病そのものの経過
など、多くの要因で変動します。
そのため、
一回の血糖値だけで「ジェネリックが効かなかった」と判断することはできません。
HbA1cや日々の血糖値の推移を見ながら判断します。
名前が変わるので間違えやすいことがあります
ジェネリック医薬品に変更すると、薬の名前が変わることがあります。
以前使っていた商品名ではなく、有効成分の名前を中心とした名称になることもあります。
そのため、
「新しい薬が追加されたと思って、古い薬も一緒に飲んでいた」
ということが起こらないよう注意が必要です。
薬が変更されたときには、
「これは前の薬と同じ成分ですか?」
と薬剤師に確認すると安心です。
同じ成分の薬を二重に飲まないように注意
これは大切です。
ジェネリックへ変更された際、以前の薬が自宅に残っていることがあります。
名前や見た目が違うため、
「別の薬だと思って両方飲んでしまった」
ということが起こる可能性があります。
特に低血糖を起こす可能性のある糖尿病薬では危険な場合があります。
薬が切り替わったら、以前の薬と新しい薬が同じ成分なのかを確認してください。
メーカーによって違いはある?
同じ有効成分のジェネリック医薬品が、複数の製薬会社から販売されていることがあります。
そのため、薬局の在庫などによってメーカーが変わる場合があります。
有効成分や規格が同じでも、
形
色
包装
添加剤
などが異なることがあります。
薬が変わって不安な場合には、薬剤師に確認しましょう。
「前のジェネリックの方が飲みやすかった」と言ってもいい?
もちろんです。
長く続ける薬では、
錠剤が大きすぎる
包装から取り出しにくい
味が苦手
見分けにくい
といったことも、治療を続けるうえでは大切な問題です。
薬の飲みやすさも治療の一部です。
困っていることがあれば、薬剤師に伝えてください。
ジェネリックを希望しなくてもいい?
薬について希望や不安がある場合には、医師や薬剤師に相談できます。
ただし、医療保険制度上の自己負担の扱いなどは制度改定によって変わることがあります。
そのため、
「先発品を希望すると費用はどうなりますか?」
という点については、その時点の薬局で確認するのが確実です。
糖尿病薬は長く使うことが多いからこそ費用も大切
糖尿病の薬は、短期間だけ飲んで終わるとは限りません。
高血圧や脂質異常症などの薬も一緒に使用している方では、毎月の薬代が負担になることがあります。
そのため、
同じ治療効果が期待できる薬を、より少ない負担で長く続ける
という点も重要です。
ジェネリック医薬品は、その選択肢の一つです。
「安い薬を選ぶのは治療を妥協すること」ではありません
患者さんの中には、
「自分の健康のことだから、高い薬の方がよいのでは?」
と考える方もいます。
しかし、
薬の価格と、患者さんにとっての治療効果が単純に比例するわけではありません。
ジェネリック医薬品を選ぶことは、
「治療の質を落とす」
という意味ではありません。
逆に「必ずジェネリックにしなければいけない」わけでもありません
一方で、
すべての方が何も考えずジェネリックへ変更すればよい
ということでもありません。
薬は毎日使うものです。
変更後に、
飲みにくい
間違えやすい
体調の変化が気になる
以前の薬との区別が分からない
などがあれば相談してください。
大切なのは、
価格だけでなく、安全に継続できること
です。
インスリンにもジェネリックはある?
注射薬では、飲み薬のジェネリックとは少し違う仕組みの薬があります。
特にインスリンなどの生物学的製剤では、バイオシミラーと呼ばれる医薬品があります。
これは一般的なジェネリック医薬品とは仕組みが少し異なります。
患者さんとしては、
「いつものインスリンと製品が変わった場合には、製品名や注入器の使い方を確認する」
ことが大切です。
自己判断で製品を入れ替えたり、使用方法を変えたりしないようにしてください。
薬が変わったときに確認したい3つのこと
① 前の薬と同じ有効成分なのか
ジェネリックへの変更なのか、新しい薬への変更なのかを確認します。
② 飲み方は同じなのか
食前・食後、1日何回などを確認してください。
③ 古い薬はどうすればよいのか
同じ成分を二重に服用しないよう確認しましょう。
お薬手帳が役立ちます
ジェネリックへ変更されたときも、お薬手帳は重要です。
薬の名前が変わっても履歴を確認できるため、
「以前どの薬を飲んでいたのか」
が分かりやすくなります。
複数の医療機関を受診している方は、できれば一つのお薬手帳にまとめるとよいでしょう。
今日覚えてほしい3つのこと
① ジェネリック医薬品は、先発医薬品と治療上同等であることを確認して承認されています
② 有効成分は同じでも、錠剤の形・色・添加剤などが異なることがあります
③ 薬が切り替わったときには、以前の薬と二重に飲まないよう確認しましょう
まとめ
ジェネリック医薬品は、
「先発医薬品より安いから、効き目も弱い薬」
ではありません。
先発医薬品と同じ有効成分を含み、治療上同等であることを確認したうえで承認されています。
一方で、
錠剤の形
色
添加剤
包装
などが異なることがあります。
そのため、
「見た目が変わって不安」
「飲みにくくなった」
「前の薬と同じなのか分からない」
という場合には、遠慮なく薬剤師に聞いてください。
糖尿病の薬は長く続けることがあります。
だからこそ、
効果だけでなく、費用、飲みやすさ、間違えにくさも含めて、無理なく続けられる薬を選ぶこと
が大切です。
ジェネリックだから必要以上に心配する必要はありません。
そして、気になることを我慢する必要もありません。
分からないことを確認しながら、安全に治療を続けていきましょう。
参考文献・情報源
- 厚生労働省「薬価基準収載品目リスト及び後発医薬品に関する情報」
- PMDA「後発医薬品(ジェネリック医薬品)ってなんですか?」
- PMDA「ジェネリック医薬品の品質情報」
