尿たんぱくと尿アルブミンは何が違う?糖尿病で確認したい尿検査をわかりやすく解説

健康診断や糖尿病の診察で、

「尿たんぱくは陰性です」

「尿アルブミンが少し増えています」

と説明されたことはありませんか?

患者さんからは、

「尿たんぱくと尿アルブミンは同じものですか?」

「尿たんぱくが陰性なのに、なぜ尿アルブミンを調べるのですか?」

「尿アルブミンが出たら、腎臓病がかなり進んでいるのでしょうか?」

と聞かれることがあります。

尿たんぱくと尿アルブミンは、まったく別のものではありません。

アルブミンは、尿中に出る可能性があるたんぱく質の一種です。

簡単にいえば、

  • 尿たんぱく:尿中に含まれるたんぱく質を広く調べる
  • 尿アルブミン:その中の「アルブミン」を詳しく調べる

という違いがあります。

糖尿病による腎臓の変化を早い段階で見つけるためには、一般的な尿たんぱく検査だけでなく、尿アルブミン検査が重要です。

尿たんぱくと尿アルブミンの違い

検査調べるもの主な目的
尿たんぱく尿中のたんぱく質を広く調べる腎臓病などのスクリーニング
尿アルブミンアルブミンという特定のたんぱく質を調べる糖尿病による早期の腎障害を見つける
尿たんぱく・クレアチニン比尿中の総たんぱく量を定量するたんぱく尿の程度を評価する
尿アルブミン・クレアチニン比尿中のアルブミン量を定量するアルブミン尿の程度を評価する

尿アルブミンは、尿たんぱくという大きなグループの中の一つです。

たとえば「果物」と「リンゴ」の関係に少し似ています。

果物にはリンゴ以外のものも含まれるように、尿たんぱくにはアルブミン以外のたんぱく質も含まれます。

そもそも、なぜ尿にたんぱくが出るの?

腎臓には、血液から老廃物や余分な水分を取り除く働きがあります。

腎臓の中にある糸球体という細い血管は、必要なものを血液中に残しながら、不要なものを尿へ送り出す「フィルター」のような役割をしています。

アルブミンなどのたんぱく質は体に必要なため、健康な腎臓では、その多くが血液中に保たれます。

しかし、糖尿病、高血圧、腎炎などによって腎臓のフィルターが傷むと、たんぱく質が尿中へ漏れ出すことがあります。

一般的な尿たんぱく検査とは?

健康診断などでは、試験紙を尿につけて判定する「尿試験紙法」がよく使われます。

結果は一般的に、

  • 陰性(-)
  • 疑陽性(±)
  • 1+
  • 2+
  • 3+

などで表示されます。

短時間で調べられるため、腎臓病を見つける最初の検査として役立ちます。

ただし、尿試験紙による尿たんぱく検査には限界があります。

結果は尿の濃さなどに影響されるため、

  • 水分を多く取って尿が薄い
  • 汗をかいたり脱水になったりして尿が濃い
  • 尿の性質が酸性またはアルカリ性に傾いている

といった場合に、実際のたんぱく量との間に差が生じることがあります。

尿たんぱくが陰性でも尿アルブミンが出ることはある?

あります。

一般的な尿試験紙では、少量のアルブミンを十分に検出できないことがあります。

そのため、

尿たんぱく検査は陰性でも、詳しく調べると尿アルブミンが増えている

ということがあります。

糖尿病による腎臓の変化では、尿たんぱく検査が明らかな陽性になる前から、少量のアルブミンが尿中へ出る場合があります。

これが、糖尿病の方で尿アルブミンを調べる大きな理由です。

尿アルブミンはどのように測る?

尿アルブミンは一般的に、

尿アルブミン・クレアチニン比(UACR)

として評価します。

尿の濃さは水分摂取量などによって変わるため、尿中のクレアチニン量で補正して評価します。

単位は通常、mg/gCrです。

尿アルブミン・クレアチニン比一般的な区分
30 mg/gCr未満正常~軽度増加
30~299 mg/gCr中等度増加
300 mg/gCr以上高度増加

以前は30~299 mg/gCrを「微量アルブミン尿」と呼ぶことがありました。現在は「中等度増加アルブミン尿」という表現も用いられています。

尿たんぱく・クレアチニン比とは?

尿たんぱくの量を詳しく調べる場合には、

尿たんぱく・クレアチニン比(UPCRまたは尿蛋白/Cr比)

を測定します。

単位は通常、g/gCrです。

一般的には0.15 g/gCr未満が一つの目安ですが、検査施設や病気の種類によって評価が異なることがあります。

尿たんぱく・クレアチニン比は、アルブミンだけでなく、尿中に出ているたんぱく質を全体として評価します。

一方、尿アルブミン・クレアチニン比は、その中のアルブミンに焦点を当てた検査です。

尿たんぱくと尿アルブミンは、どちらを調べればいい?

どちらが優れているというより、目的によって使い分けます。

糖尿病による早期の腎障害を調べる場合

尿アルブミン・クレアチニン比が重要です。

一般的な尿たんぱく検査では分からない段階の変化を見つけられることがあります。

健康診断などで広く腎臓病を調べる場合

尿試験紙による尿たんぱく検査がよく使われます。

簡便で、多くの人を対象としたスクリーニングに適しています。

尿たんぱくが明らかに増えている場合

尿たんぱく・クレアチニン比を測定し、たんぱく尿の程度を詳しく評価することがあります。

糖尿病以外の腎臓病が疑われる場合

アルブミン以外のたんぱく質が増える病気もあるため、尿たんぱく、尿アルブミン、血尿、尿沈渣、血液検査などを組み合わせて判断します。

尿アルブミンが正常なら腎臓は大丈夫?

尿アルブミンが正常でも、腎臓に問題がないとは限りません。

糖尿病のある方の中には、尿アルブミンがあまり増えないままeGFRが低下する方もいます。

また、糖尿病以外の腎臓病では、アルブミン以外のたんぱく質が増えることもあります。

したがって、腎臓の状態は、

  • 尿たんぱく
  • 尿アルブミン
  • 血尿
  • 尿沈渣
  • 血清クレアチニン
  • eGFR
  • これまでの変化

などを組み合わせて評価します。

尿アルブミンとeGFRの違いについては、関連記事「尿アルブミンとeGFRは何が違う?糖尿病で腎臓を守るための検査をわかりやすく解説」で詳しく説明しています。

1回だけ尿たんぱくが出たら腎臓病?

尿たんぱくや尿アルブミンが1回増えただけで、すぐに慢性腎臓病と決まるわけではありません。

次のような場合には、一時的に尿たんぱくや尿アルブミンが増えることがあります。

  • 激しい運動をした
  • 発熱や感染症がある
  • 血糖値が著しく上昇している
  • 血圧が高い
  • 脱水になっている
  • 尿路感染症がある
  • 心不全がある
  • 月経中に採尿した

体調が良いときに再検査し、異常が続いているかを確認することが大切です。

再検査では、起床後最初の尿を使用することもあります。

泡立つ尿はたんぱく尿のサイン?

たんぱく尿が多いと、尿が泡立つことがあります。

ただし、尿の勢い、便器の状態、尿の濃さなどでも泡立つことがあるため、泡だけでたんぱく尿の有無を判断することはできません。

反対に、尿が泡立っていなくても、尿アルブミンが増えている場合があります。

見た目だけで判断せず、尿検査で確認しましょう。

尿たんぱくや尿アルブミンが出たら透析になる?

尿たんぱくや尿アルブミンが出たからといって、すぐに透析が必要になるわけではありません。

大切なのは、

  • どのくらい出ているか
  • 一時的な変化か、持続しているか
  • eGFRがどの程度か
  • eGFRがどのように変化しているか
  • 血圧や血糖の状態
  • 原因となる腎臓病は何か

を確認することです。

尿たんぱくや尿アルブミンは、腎臓の将来のリスクを考えるための重要な情報です。

早い段階で気づくことができれば、血糖や血圧の管理、生活習慣や薬の見直しなど、腎臓を守る対策につなげられます。

検査で異常があったら、どうすればいい?

まず、薬を自己判断で中止したり、極端なたんぱく質制限を始めたりしないでください。

次の点を主治医に確認しましょう。

  • 尿たんぱくと尿アルブミンのどちらが増えているか
  • 尿中クレアチニンで補正した値はいくつか
  • 再検査が必要か
  • eGFRは以前と比べて低下しているか
  • 血尿を伴っていないか
  • 血圧や血糖の目標を見直す必要があるか
  • 腎臓を守る薬が適しているか
  • 腎臓専門医への相談が必要か

今日覚えてほしい3つのこと

  1. アルブミンは、尿中に出る可能性があるたんぱく質の一種です。
  2. 一般的な尿たんぱく検査が陰性でも、尿アルブミンが増えていることがあります。
  3. 糖尿病では、尿アルブミンとeGFRの両方を定期的に確認することが大切です。

まとめ

尿たんぱくは、尿中に含まれるたんぱく質を広く調べる検査です。

尿アルブミンは、その中のアルブミンという特定のたんぱく質を詳しく調べる検査です。

糖尿病による腎臓の変化は、一般的な尿たんぱく検査が陽性になる前から始まっていることがあります。

そのため、尿たんぱくが陰性でも、必要に応じて尿アルブミンを確認することが重要です。

ただし、1回の検査だけでは判断できないこともあります。

結果が気になる場合は、eGFRや過去の検査結果と一緒に、主治医へ確認してください。

※本記事は一般的な医療情報を提供するものであり、個別の診断や治療を目的とするものではありません。検査や治療については、担当医にご相談ください。

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参考文献・情報源

  1. 日本糖尿病学会.糖尿病診療ガイドライン2024.第9章 糖尿病性腎症.
  2. 日本腎臓学会.CKD診療ガイド2024.
  3. Kidney Disease: Improving Global Outcomes(KDIGO)CKD Work Group. KDIGO 2024 Clinical Practice Guideline for the Evaluation and Management of Chronic Kidney Disease. Kidney Int. 2024;105(Suppl 4S):S117-S314.
  4. American Diabetes Association Professional Practice Committee. Chronic Kidney Disease and Risk Management: Standards of Care in Diabetes—2026. Diabetes Care. 2026;49(Suppl 1).