糖尿病の定期検査では何を調べる?血液・尿・目・足の検査をわかりやすく解説

糖尿病で通院していると、血液検査や尿検査など、さまざまな検査を受けることがあります。

「HbA1cだけではいけないのですか?」

「尿検査は何のためにするのですか?」

「目がよく見えているのに眼科へ行く必要がありますか?」

このような疑問を持つ方も少なくありません。

糖尿病の定期検査には、大きく分けて2つの目的があります。

① 血糖管理や治療の状態を確認すること

② 自覚症状が出る前に合併症を見つけること

糖尿病の治療では、血糖値を確認するだけでなく、腎臓、目、神経、心臓、血管などの状態にも目を向けることが大切です。

1.HbA1cと血糖値を調べる

糖尿病の診察でよく測定するのが、HbA1cと血糖値です。

HbA1cとは?

HbA1cは、最近1~2か月を中心とした血糖管理の状態を反映する指標です。

その日の食事だけで大きく変化するものではないため、長期的な血糖管理を考えるうえで役立ちます。

ただし、貧血、出血、輸血、腎機能の低下などによって、実際の血糖状態と一致しないことがあります。

血糖値とは?

血糖値は、採血した時点の血液中のブドウ糖濃度です。

食事や運動、薬、体調などによって変化します。

そのため、血糖値を見るときには、食前なのか食後なのかも重要です。

HbA1cと血糖値は、どちらか一方だけでなく、必要に応じて組み合わせて評価します。

2.腎臓の検査では何を調べる?

糖尿病では、腎臓の状態を定期的に確認することが大切です。

特に重要なのが、eGFRと尿アルブミンです。

eGFR

eGFRは、主に血清クレアチニン、年齢、性別などから推算する腎機能の指標です。

腎臓が血液をろ過する働きを、ある程度把握できます。

ただし、筋肉量などの影響を受けることがあるため、1回の数値だけで判断せず、これまでの推移も確認します。

尿アルブミン

尿アルブミンは、腎臓から尿へ漏れ出るアルブミンを調べる検査です。

eGFRが比較的保たれていても、尿アルブミンが増えている場合があります。

つまり、

eGFRが正常範囲だから、腎臓に問題がないとは限りません。

糖尿病では、eGFRと尿アルブミンの両方を確認することが重要です。

一般に、2型糖尿病では診断時から、1型糖尿病では発症から一定期間経過した後を目安に、少なくとも年1回の腎機能・尿アルブミン評価が推奨されます。異常がある場合などには、より頻繁に確認します。

3.目の検査はなぜ必要?

糖尿病では、網膜の細い血管が障害される糖尿病網膜症が起こることがあります。

網膜症の特徴は、初期には自覚症状がほとんどないことです。

「よく見えているから大丈夫」

とは限りません。

網膜症が進行すると、視力低下や視野の異常などにつながることがあります。

そのため、症状がなくても眼科で眼底検査などを受けることが大切です。

2型糖尿病では診断後速やかに、1型糖尿病では年齢や発症からの期間を考慮して眼科評価を開始します。その後の受診間隔は網膜症の有無や重症度によって異なりますが、一般的には年1回程度が基本的な目安となります。

視力検査だけでは、網膜症の状態を十分に確認できません。

4.足の検査では何を見る?

糖尿病では神経障害や血流障害によって、足の傷に気づきにくくなったり、傷が治りにくくなったりすることがあります。

診察では、必要に応じて、

  • 足の傷、たこ、変形、皮膚の状態
  • 足の感覚
  • 足の脈拍や血流
  • 靴が足に合っているか

などを確認します。

神経障害の評価には、モノフィラメントによる感覚検査や振動覚検査などが使われます。

足の総合的な評価は少なくとも年1回を基本とし、神経障害や血流障害、足潰瘍の既往などがある方では、より頻繁な確認が必要です。

そして、医療機関での検査と同じくらい大切なのが、自宅で足を見る習慣です。

5.血圧とコレステロールも確認する

糖尿病では、心筋梗塞や脳梗塞などの心血管疾患にも注意が必要です。

そのため、血糖値だけでなく、血圧や脂質の管理も重要になります。

血圧は診察時に確認し、必要に応じて家庭血圧も参考にします。

血液検査では、LDLコレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪などを調べます。

目標値は年齢や心血管疾患の既往、腎機能などによって異なります。

HbA1cが良好でも、血圧や脂質の管理が必要な場合があります。

6.肝臓や薬の影響も確認する

糖尿病では、脂肪性肝疾患が合併することがあります。

また、使用する薬によっては腎機能、肝機能、電解質などの確認が必要です。

血液検査では、必要に応じてAST、ALT、血清クレアチニン、カリウムなどを測定します。

ただし、すべての項目を毎回調べる必要があるわけではありません。

治療内容や合併症に応じて、主治医が検査項目と頻度を判断します。

7.検査はどのくらいの頻度で受ければいい?

検査の頻度は患者さんによって異なります。以下は一般的な目安です。

検査頻度の考え方
HbA1c血糖管理や治療状況に応じて、おおむね1~3か月ごと
血糖値診察時や必要に応じて
血圧原則として毎回の診察時
脂質状態に応じて定期的に
eGFR・尿アルブミン少なくとも年1回を基本に、腎機能やリスクに応じて追加
眼科検査原則として定期的に。網膜症の状態に応じて間隔を調整
足の診察・神経評価少なくとも年1回を基本に、リスクが高い方ではより頻繁に

この表は、すべての患者さんに同じ検査間隔を指定するものではありません。

特に腎臓病や網膜症がある方、インスリン治療中の方、治療を変更したばかりの方などでは、検査の頻度が異なります。

8.検査結果は「前回との変化」も大切

検査結果を見るとき、基準値から外れているかどうかだけを気にする方がいます。

もちろん、数値そのものは大切です。

しかし、糖尿病では時間とともにどう変化しているかも重要です。

例えば、eGFRが以前より低下していないか、尿アルブミンが増えていないか、HbA1cが急に変化していないかなどです。

一度の検査結果に一喜一憂するのではなく、長い目で経過を確認することが役立ちます。

9.検査で異常が見つかったら?

異常が見つかったからといって、必ずしも重大な病気が進行しているとは限りません。

検査値には体調や測定条件による変動もあります。

大切なのは、必要に応じて再検査や追加検査を受け、原因を確認することです。

また、検査結果だけで自己判断して薬を中止したり、量を変更したりしないでください。

今日覚えてほしい3つのこと

① 糖尿病の定期検査は、血糖管理だけでなく、合併症の早期発見にも役立ちます。

② HbA1cだけでなく、腎臓・目・足・血圧・脂質なども確認することが大切です。

③ 検査の種類や頻度は、患者さん一人ひとりの状態によって異なります。

まとめ

糖尿病の定期検査には、それぞれ意味があります。

血糖値やHbA1cは、血糖管理の状態を知るため。

尿アルブミンやeGFRは、腎臓の状態を知るため。

眼科検査や足の診察は、自覚症状が少ない合併症を早く見つけるため。

血圧や脂質の検査は、心臓や脳の血管を守るため。

すべての数値を完璧にすることが目的ではありません。

定期的に体の状態を確認し、必要な対策を早めに始めること。

それが、糖尿病と長く付き合いながら、健康な生活を続けるために大切なことです。

参考文献・情報源

  1. 日本糖尿病学会.糖尿病診療ガイドライン2024 — 血糖管理、腎症、網膜症、神経障害など。

2. American Diabetes Association. Standards of Care in Diabetes—2026 — 糖尿病の包括的管 理と検査。

3. ADA. Retinopathy, Neuropathy, and Foot Care—2026 — 眼科検査、神経障害評価、足の定期診察。