糖尿病の運動療法では、ウォーキングなどがよく勧められます。
一方で、
「糖尿病になると足に気をつけた方がいいと言われた」
「靴ずれくらいなら運動しても大丈夫?」
「足の感覚が鈍いけれど歩いてもいい?」
と心配になる方もいるでしょう。
糖尿病があるからといって、すべての人が運動を控える必要はありません。
しかし、糖尿病では神経障害や血流の問題などによって、足の傷に気づきにくかったり、傷が治りにくかったりすることがあります。
そのため、
「運動すること」と同じくらい「足を守ること」も大切です。
なぜ糖尿病では足に注意するの?
糖尿病の合併症の一つに、糖尿病性神経障害があります。
神経障害が進むと、足の感覚が鈍くなることがあります。
すると、
小さな靴ずれ
まめ
やけど
小さな傷
などができても、痛みを感じにくく、気づくのが遅れることがあります。
また、足の血流が悪くなっている方では、傷が治りにくくなることもあります。
「痛くないから大丈夫」
とは限らないところが、糖尿病の足で注意したい点です。
運動を始める前に足を見てみましょう
ウォーキングなどをする前に、足の状態を確認する習慣をつけると安心です。
難しいことをする必要はありません。
傷がないか、赤くなっていないか、腫れていないか、まめや靴ずれがないか
を見てみましょう。
足の裏など自分では見にくい場所もあります。
必要に応じて鏡を利用したり、家族などに確認してもらったりする方法もあります。
靴選びも運動の一部です
ウォーキングをするときには、靴も大切です。
「健康のために歩くのだから、どんな靴でもよい」
というわけではありません。
足に合っていない靴では、長く歩くうちに同じ場所がこすれて、靴ずれやまめができることがあります。
特に新しい靴では注意しましょう。
最初から長時間歩くのではなく、短い時間から試して、足に赤みや痛みなどが出ていないか確認すると安心です。
運動のために高価な靴を買うことより、自分の足に合った靴を選ぶことが大切です。
靴の中も確認しましょう
足の感覚が低下していると、靴の中に小石などが入っていても気づかないことがあります。
そのまま長時間歩けば、足を傷つける可能性があります。
靴を履く前に、
「靴の中に異物が入っていないか」
を確認する習慣をつけるとよいでしょう。
また、靴下も足を保護する役割があります。
しわになった靴下などが長時間同じ場所を圧迫しないよう注意しましょう。
はだしで運動してもいい?
足の感覚が低下している方では、はだしで歩くことは特に注意が必要です。
床に落ちている小さな物を踏んだり、熱い場所に触れたりしても、気づかないことがあります。
「家の中だから安全」
とは限りません。
特に神経障害がある方では、足を傷つけないように保護することが大切です。
運動が終わったら、もう一度足を確認
運動前には何もなかったのに、歩いたあとに赤みや靴ずれができていることがあります。
そのため、特にウォーキングを始めたばかりの方や新しい靴を使ったときには、運動後にも足を見てみましょう。
「少し赤くなっている」
「まめができている」
「皮がむけている」
といった変化があれば、そのまま無理に歩き続けないようにしましょう。
靴ずれくらいなら我慢して歩いてもいい?
おすすめできません。
糖尿病のない方なら小さな靴ずれで終わることでも、糖尿病の状態や血流、神経障害などによっては悪化することがあります。
「このくらいなら大丈夫」と我慢して歩き続けないことが大切です。
傷ができたら、運動量や運動方法を見直しましょう。
傷が治らない、赤みや腫れが広がる、膿が出るなどの場合には、早めに医療機関へ相談してください。
足に傷があるときは歩かない方がいい?
傷の場所や大きさ、深さ、感染の有無などによって対応は異なります。
そのため、
「小さい傷だからウォーキングを続けても大丈夫」
と自己判断しない方が安全です。
特に足の潰瘍がある場合には、歩くことで傷の部分に繰り返し圧力がかかり、治りにくくなることがあります。
傷がある場合には、主治医や医療スタッフに相談し、運動方法を考えましょう。
歩けないなら運動はできない?
足に問題があってウォーキングを控える必要がある場合でも、
「運動は全部できない」
とは限りません。
足の状態によっては、上半身を使った運動など、患部への負担が少ない方法を検討できる場合があります。
ただし、どの運動が適しているかは足の状態によって異なります。
自己判断で傷のある足に負担をかけるのではなく、医療スタッフと相談して安全な方法を選びましょう。
「毎日○歩」より足を守ることが大切
歩数計を使っていると、
「今日はまだ目標まで2000歩足りない」
と気になることがあります。
しかし、足に痛みや傷があるのに、
「目標を達成するために歩かなければ」
と無理をする必要はありません。
糖尿病の運動療法は、歩数を達成する競争ではありません。
足を傷めて長期間歩けなくなるより、早めに休んで対応する方が大切です。
歩数より安全を優先してください。
足の感覚が鈍いと感じたら
「足の裏がしびれる」
「砂利の上を歩いているような感じがする」
「足の感覚が以前より鈍い」
などがある場合には、糖尿病性神経障害などが関係している可能性があります。
自己判断せず、診察の際に主治医へ伝えてください。
また、足が冷たい、色が悪い、歩くとふくらはぎなどが痛くなり休むと楽になる、といった症状では、足の血流に問題がないか確認が必要になる場合があります。
すぐ相談した方がよい足の変化
糖尿病の方では、足の異常を早く見つけることが大切です。
特に、
・傷が治らない
・赤みや腫れが広がっている
・膿が出ている
・皮膚の色が黒っぽく変化している
・足が急に腫れた
・発熱など全身症状を伴う
といった場合には、放置せず医療機関に相談してください。
「痛くないから大丈夫」と考えないことが重要です。
糖尿病と足について覚えておきたい3つのポイント
① 糖尿病では、足の傷に気づきにくいことがあります
② ウォーキングの前後に足を確認し、自分に合った靴を使用しましょう
③ 足に傷があるときは、歩数を優先せず、必要に応じて医療機関に相談しましょう
まとめ
ウォーキングは糖尿病の方にとって取り組みやすい運動の一つです。
しかし、たくさん歩くことだけが大切なのではありません。
安全に歩き続けられる足を守ることも、運動療法の一部です。
運動の前後に足を見てみる。
自分に合った靴を履く。
靴ずれや傷を我慢しない。
これだけでも大切なフットケアになります。
そして、
「今日は目標の歩数まで歩かなければ」
と、足の異常を我慢してまで運動する必要はありません。
歩数より、足を守ることを優先してください。
糖尿病と長く付き合いながら運動を続けるためにも、毎日の足を大切にしていきましょう。
