糖尿病の運動というと、まずウォーキングを思い浮かべる方が多いと思います。
でも、
「歩くより自転車の方が好き」
「膝が気になるので、自転車ならできそう」
「自転車でも糖尿病の運動になる?」
「どのくらい走ればいい?」
と思う方もいるでしょう。
自転車も、糖尿病の方が取り組める運動の一つです。
大切なのは、速く走ったり長い距離を走ったりすることではありません。
安全に、無理なく、できれば楽しみながら続けることです。
自転車も立派な有酸素運動です
自転車では、脚の大きな筋肉を繰り返し使います。
筋肉は運動中にブドウ糖を利用するため、自転車運動も血糖管理の改善につながることがあります。
また、継続して体を動かすことは、体力の維持や心臓・血管の健康を保つことにもつながります。
つまり、
「糖尿病の運動=ウォーキングだけ」
ではありません。
自転車が好きな方にとっては、自転車を生活の中に取り入れるのもよい方法です。
自転車のよいところは?
自転車にはウォーキングとは違った特徴があります。
ペダルをこいで移動するため、長い距離を移動することができます。
景色を楽しんだり、買い物や移動を兼ねたりすることもできます。
また、人によってはウォーキングより膝への負担を少なく感じることがあります。
「運動のために仕方なく歩く」のは続かなくても、
「自転車なら楽しいから乗りたい」
という方もいるでしょう。
運動を続けるうえでは、楽しいと思えることも大切な要素です。
速く走らなくても大丈夫
スポーツとして自転車に乗っている人を見ると、
「自分も速く走らないと運動にならないのでは?」
と思うかもしれません。
そんなことはありません。
糖尿病の運動療法として自転車に乗るのであれば、競技ではありません。
速さや距離を人と比べる必要もありません。
最初は、
「少し自転車に乗ってみる」
くらいでも構いません。
運動習慣がなかった方は、短い時間から始めて、体調や体力に合わせて少しずつ慣れていきましょう。
坂道を頑張って上る必要もありません
自転車には、平らな道をゆっくり走る楽しみ方もあれば、坂道を上ったり長距離を走ったりする楽しみ方もあります。
しかし、健康のための自転車運動で、
苦しい坂道を頑張って上る必要はありません。
坂道では平地より運動の負荷が大きくなります。
「きついほど糖尿病に効く」
と考えて無理をする必要はありません。
自分が安全に続けられる強さで十分です。
室内の自転車という方法もあります
屋外で自転車に乗るのが不安な方には、エアロバイクなど室内で行う方法もあります。
室内なら、
交通事故の心配が少ない
天候に左右されにくい
自分のペースで中止しやすい
といった利点があります。
「雨だからできない」
「冬は寒くて乗れない」
という方にも選択肢になります。
大切なのは屋外か室内かではなく、自分が安全に続けられる方法を選ぶことです。
屋外では安全が最優先です
屋外の自転車には、ウォーキングとは違った注意点があります。
特に重要なのが、転倒と交通事故です。
健康のために運動していて、事故でけがをしてしまっては本末転倒です。
交通ルールを守り、周囲の状況をよく確認して走りましょう。
ヘルメットなど、安全のための装備も大切です。
体調が悪い日や、ふらつきがあるときには、無理に屋外で自転車に乗らないようにしましょう。
低血糖には特に注意しましょう
インスリンや低血糖を起こす可能性のある薬を使用している方では、自転車運動によって低血糖が起こることがあります。
屋外で自転車に乗っている途中に低血糖になると、転倒や交通事故につながる可能性があります。
そのため、低血糖を起こす可能性のある方は、ブドウ糖など低血糖に対応できるものを携帯しておくことが大切です。
長時間乗る場合や、いつもより強い運動をする場合には特に注意してください。
低血糖の症状を感じた場合には、そのまま走り続けないでください。
安全な場所で自転車を止め、低血糖に対処しましょう。
「あと少しだから」と無理をしない
自転車では、家からかなり離れたところまで行くことがあります。
そのため、
「疲れてきたけれど、帰らなければならない」
という状況になることがあります。
最初から長い距離を走るのではなく、余裕を持って帰ってこられる範囲から始めると安心です。
また、
「せっかくここまで来たから、もう少し走ろう」
と無理をする必要もありません。
疲労を感じたら休むことも運動の一部です。
暑い日の自転車にも注意
自転車は風を受けながら走るため、暑い日でも意外と快適に感じることがあります。
しかし、運動中には汗をかき、水分を失います。
暑い日には熱中症や脱水にも注意が必要です。
気温が高い時間帯に無理をせず、必要に応じて休憩をとりましょう。
水分制限などを指示されている方は、自分の病気に応じた水分摂取について主治医に確認してください。
足にも注意しましょう
糖尿病では、足の感覚が低下していることがあります。
自転車でも靴が合っていなかったり、長時間ペダルをこいだりすることで、足に負担がかかる場合があります。
運動後には、
「靴ずれがないか」
「赤くなっていないか」
「傷ができていないか」
など、足を確認する習慣をつけるとよいでしょう。
すでに足に傷や潰瘍がある場合には、自己判断で運動を続けず、医療機関に相談してください。
持病がある方は主治医に相談を
自転車は運動の強さを上げることもできるため、心臓や血管の病気、進行した糖尿病合併症などがある方では注意が必要です。
特にこれまで運動をしていなかった方が、急に長距離や強い運動を始めることは避けましょう。
胸の痛み、強い息苦しさ、めまい、ふらつきなどが出た場合には、無理に続けないでください。
自分がどの程度の運動をしてよいか心配な場合には、主治医に相談しましょう。
自転車は「数字」を競うものではありません
自転車には、
走った距離
速度
時間
坂の勾配
など、さまざまな数字があります。
数字が見えると、
「昨日より速く」
「もっと遠くへ」
と頑張りたくなることがあります。
スポーツとして目標に挑戦する楽しさもあります。
しかし、糖尿病の運動療法では、
速い人が一番健康というわけではありません。
5kmでも、20kmでも、その人にとって無理なく続けられる運動であればよいのです。
運動の目的は、人と競争することではありません。
自転車について覚えておきたい3つのポイント
① 自転車も糖尿病の運動として利用できます
② 速さや距離、坂道にこだわる必要はありません
③ 屋外では低血糖、転倒、交通事故などへの安全対策を忘れないようにしましょう
まとめ
糖尿病の運動療法は、ウォーキングだけではありません。
自転車が好きなら、自転車を選んでもよいのです。
平らな道をゆっくり走っても構いません。
室内のエアロバイクでも構いません。
そして、速さや距離を競う必要もありません。
大切なのは、
「糖尿病だから自転車に乗らなければならない」ではなく、「自転車に乗るのが楽しいから、結果として体も動かせている」
という関係を作ることです。
運動は長く続けていくものです。
だからこそ、
頑張って速く走ることより、また乗りたいと思えることを大切に。
自分の体力や治療に合った方法で、安全に自転車を楽しんでいきましょう。
