仕事が忙しくて運動する時間がない人へ|糖尿病でもできる「ながら運動」と日常活動

糖尿病の治療で、

「もう少し運動しましょう」

と言われても、

「仕事が忙しくて時間がない」
「朝は早いし、帰宅すると疲れている」
「家事や子育てで運動する余裕がない」
「30分もウォーキングする時間なんてない」

という方は少なくありません。

そんなとき、

「運動する時間がないから、自分には運動療法は無理」

と考えてしまうかもしれません。

でも、運動は必ずしも、着替えて30分ウォーキングをしたり、スポーツジムに行ったりすることだけではありません。

日常生活の中で少し体を動かすことにも意味があります。

忙しい人ほど、「運動の時間を作る」だけではなく、普段の生活の中に体を動かす機会を入れるという考え方をしてみましょう。

「運動」と「体を動かすこと」は少し違います

ウォーキング、ジョギング、水泳、自転車、筋力トレーニングなどは、一般に「運動」と考えられています。

一方で、

通勤で歩く。
階段を使う。
掃除をする。
買い物に行く。
仕事中に立って移動する。

といった活動でも、私たちは体を動かしています。

これらも身体活動の一部です。

つまり、

「今日はウォーキングできなかった=今日はまったく体を動かしていない」

とは限りません。

30分まとまった時間がなくても大丈夫

忙しい方にとって、

「毎日30分運動してください」

という目標は大きな負担になることがあります。

30分の時間を確保できない日には、

「今日は運動できない」

となってしまうからです。

そんなときは、まとまった時間だけにこだわらなくても構いません。

朝に少し歩く。

昼休みに少し歩く。

夕食後に少し体を動かす。

このように、短い時間に分けて体を動かす方法もあります。

最初から「何分以上でなければ意味がない」と考えないことが大切です。

通勤を少しだけ利用してみる

仕事をしている方なら、通勤を体を動かす機会として利用できる場合があります。

たとえば、

いつもより少し歩く。
電車やバスを降りてから少し歩く。
エレベーターだけでなく、無理のない範囲で階段も使ってみる。

といった方法です。

もちろん、

「健康のために毎日一駅前で降りなければならない」

といった厳しいルールを作る必要はありません。

仕事で疲れている日は、いつも通りでも構いません。

「できそうな日に少しだけ」

くらいから始めましょう。

デスクワークでは「座りっぱなし」を減らしてみる

一日中パソコンを使っている方では、長い時間座ったままになりがちです。

そんな場合には、

運動する時間を増やすだけでなく、長時間の座りっぱなしを時々中断する

という考え方もあります。

仕事の区切りに立つ。

飲み物を取りに行く。

少し歩く。

立ってできる作業は立ってみる。

特別な運動をしなくても、こうした小さな工夫で座り続ける時間を減らすことができます。

「ながら運動」でもいい?

「ながら運動」という言葉には厳密な決まりがあるわけではありませんが、何かをしながら体を動かす方法は、忙しい方には取り入れやすいことがあります。

たとえば、

テレビを見ながら足を動かす。
歯磨きのあとに軽く体を動かす。
家事をしながら意識して体を動かす。

などです。

ただし、転倒するような危険な「ながら運動」は避けましょう。

バランスが不安定な方が、別のことに注意を向けながら立って運動するのは危険な場合があります。

「ながら」より安全を優先してください。

家事も立派な身体活動です

掃除、洗濯、料理、買い物など、家事でも体を動かします。

家事で忙しかった日に、

「今日は運動できなかった」

と落ち込む必要はありません。

たくさん体を動かしていたのであれば、それもその日の活動です。

ただし、

「家事をしているから運動は一切必要ない」

と決めつける必要もありません。

普段どのくらい体を動かしているのかを考える材料の一つとして捉えてみましょう。

エレベーターを使ってもいい

「健康のためには階段を使いましょう」

という言葉もよく聞きます。

もちろん、階段は体を動かすよい機会です。

しかし、

膝が痛い。
息切れしやすい。
転倒が心配。
荷物をたくさん持っている。

そんなときまで、無理に階段を使う必要はありません。

エレベーターを使ったから運動不足、という単純な話ではありません。

安全にできるところで体を動かしましょう。

昼休みに運動しなければいけない?

「昼休みにウォーキングすればいい」

と言われても、

昼休みくらいゆっくりしたい方もいるでしょう。

それで構いません。

食後に少し体を動かすことで、食後の血糖上昇が緩やかになることがありますが、毎食後に必ず歩かなければならないわけではありません。

できる日には少し歩く。

忙しい日は休む。

そのくらいでもよいのです。

運動のために休憩時間をすべて犠牲にする必要はありません。

休日にまとめて激しい運動をすればいい?

平日に運動できなかったから、

「週末にまとめて頑張ろう」

と思う方もいます。

休日に体を動かすこと自体はよいことです。

しかし、普段ほとんど運動していない方が、休日だけ急に長時間の激しい運動をするのは体への負担が大きくなることがあります。

平日できなかった分を、休日に「取り返す」必要はありません。

休日も、自分の体力に合った運動を楽しみましょう。

忙しい日は5分でもいい

仕事が終わって帰宅したら、

「今日はもう疲れた」

という日もあります。

そんな日に30分歩くのは難しくても、

「少しだけ体を動かそう」

ならできるかもしれません。

もちろん、5分という数字にこだわる必要もありません。

短いから意味がない、と考えないことが大切です。

逆に、本当に疲れている日は休んでも構いません。

睡眠を削ってまで運動しない

忙しい方ほど注意したいのが、

運動するために睡眠時間を削ってしまうことです。

健康のためには、運動だけではなく睡眠も大切です。

「運動する時間がないから、朝もっと早く起きればいい」

と考えて、慢性的に睡眠不足になってしまうのはおすすめできません。

糖尿病治療は、

運動だけを完璧にすればよいものではありません。

食事、運動、睡眠、薬、そして毎日の生活を全体として考えることが大切です。

忙しい人ほど「できなかったこと」を数えない

「今日はウォーキングできなかった」

「昨日もできなかった」

と、できなかったことばかり数えると、運動そのものが嫌になってしまいます。

そんなときは、

「今日は通勤で少し歩いた」
「昼に少し外へ出た」
「家事でよく動いた」
「座りっぱなしを一度中断できた」

という、できたことにも目を向けてみましょう。

100点を目指す必要はありません。

運動を予定に入れすぎない方法もあります

運動を続けるために、スケジュールを決めることが合っている人もいます。

一方で、

「月・水・金は必ず30分歩く」

と決めることが負担になる人もいます。

その場合は、

「チャンスがあったら少し動く」

という方法でも構いません。

エレベーターを待っている。

少し時間が空いた。

食後に余裕がある。

そんな小さな機会を利用してみましょう。

運動を生活に合わせるのであって、生活のすべてを運動に合わせる必要はありません。

忙しい人の運動で覚えておきたい3つのポイント

① まとまった運動時間がなくても、日常生活の中で体を動かすことができます

② 短い時間の活動や、座りっぱなしを減らすことから始めても構いません

③ 運動のために睡眠や休養を犠牲にせず、生活全体で考えましょう

まとめ

「運動する時間がありません」

というのは、決して珍しいことではありません。

仕事、家事、子育て、介護。

人によって生活は違います。

その中で、

「毎日30分ウォーキングしなければ」

という目標だけを押しつけてしまうと、運動を続けることが苦しくなる場合があります。

だから、

通勤で少し歩く。

仕事の途中で立つ。

家事で体を動かす。

時間がある日に少し歩く。

そんな方法でもよいのです。

「運動の時間を作れない」なら、「生活の中で少し動く」を考えてみましょう。

そして、できない日があっても大丈夫です。

糖尿病の運動療法で大切なのは、

忙しい生活とは別に完璧な運動生活を作ることではありません。

今の生活の中に、無理なく体を動かす習慣を少しずつ加えていくことです。

今日できることを、できる範囲で。

それを積み重ねていきましょう。