糖尿病のために運動を始めようと思ったとき、
「朝に歩いた方がいい?」
「食後すぐに運動した方が血糖値は下がる?」
「夜に運動しても意味がある?」
と迷う方もいるでしょう。
運動する時間帯によって、血糖値の動きが違うことはあります。
しかし、すべての人に、
「この時間に運動するのが一番よい」
という決まった答えがあるわけではありません。
まず大切なのは、自分の生活の中で無理なく続けられる時間を見つけることです。
朝に運動するメリットは?
朝は、仕事や家事が始まる前で予定を立てやすいという方もいます。
朝の散歩を習慣にすると、
「朝起きたら少し歩く」
という生活のリズムを作りやすくなることもあります。
一方で、朝は忙しかったり、起きたばかりで体が動きにくかったりする方もいます。
また、インスリンや低血糖を起こす可能性のある薬を使用している場合には、食事をとらずに運動することが適しているとは限りません。
「朝の空腹時に運動すれば、より血糖値が下がる」
と考えて、無理に空腹で運動する必要はありません。
食後の運動はどう?
食事をすると血糖値が上昇します。
そのため、食後に少し体を動かすことは、食後の血糖値の上昇を抑える方法の一つです。
たとえば、
「夕食後に10分くらい歩く」
といった方法なら、生活に取り入れやすい方もいるでしょう。
長時間の本格的な運動でなくても構いません。
ただし、
「食後○分後に必ず運動しなければならない」
と細かく時間を決めすぎる必要はありません。
食事の直後に激しい運動をすると、おなかが苦しくなる方もいます。
自分が無理なく動けるタイミングを選びましょう。
朝食後、昼食後、夕食後のどれがいい?
これも、すべての人に共通する正解はありません。
朝食後なら続けやすい方もいれば、昼休みに歩ける方、夕食後が一番時間を取りやすい方もいます。
また、
「夕食後の血糖値が高くなりやすい」
など、自分の血糖値の傾向が分かっている場合には、その時間帯の運動を考える方法もあります。
しかし、一番効果の高そうな時間を探すあまり、運動そのものが続かなくなってしまっては本末転倒です。
夜に運動しても意味はある?
もちろん、夜の運動にも意味があります。
仕事が終わってからでないと運動する時間がない方もいるでしょう。
「朝に運動できないから、自分には運動療法は無理」
と考える必要はありません。
夜しか時間が取れないのであれば、夜に無理なく体を動かす方法を考えればよいのです。
ただし、夜遅くに激しい運動をすると、人によっては寝つきなどに影響することがあります。
睡眠も糖尿病の管理には大切です。
運動のために睡眠時間を削る必要はありません。
「血糖値が高い時間を狙って運動する」必要はありません
血糖値を測って高い数字が出ると、
「今すぐ歩いて下げなければ」
と思うことがあります。
しかし、運動は高くなった血糖値への“罰”ではありません。
血糖値が高くなる理由には、食事だけでなく、体調、ストレス、睡眠、薬の影響などさまざまなものがあります。
特に著しい高血糖や体調不良がある場合には、運動が適さないこともあります。
高い数字を見て、急に激しい運動をすることは避けましょう。
運動の時間を分けてもいい?
「30分の運動時間を作るのは難しい」
という方もいるでしょう。
その場合には、
朝に少し歩く。
昼にも少し歩く。
夕食後にも少し体を動かす。
というように、生活の中に分けて取り入れる方法もあります。
まとまった運動時間を確保できないからといって、
「今日は運動できない」
と考えなくても大丈夫です。
短い時間でも、体を動かす機会を作ってみましょう。
生活の中で「続けやすい時間」を探しましょう
運動する時間を決めるときには、
・仕事や家事の邪魔にならない
・睡眠時間を削らない
・食事との関係で無理がない
・安全に運動できる
・長く続けられそう
ということを考えてみましょう。
「医学的に一番よい時間」を探すこと以上に、実際に続けられることが大切です。
たとえば、
「夕食が終わったら10分歩く」
と決めると、食事と運動をセットにして習慣化しやすい方もいます。
一方で、夕食後は家事で忙しい方なら、朝や昼でも構いません。
インスリンや低血糖を起こす薬を使用している方は注意
運動する時間帯によって、食事や薬、インスリンとの時間関係も変わります。
インスリンや低血糖を起こす可能性のある薬を使用している方では、運動によって低血糖が起こることがあります。
特に、普段と違う時間に長時間運動するときには注意しましょう。
自分の場合、どの時間帯にどのような注意が必要なのか、主治医と相談しておくと安心です。
薬やインスリンを自己判断で大きく変更することは避けてください。
朝と夜、結局どちらがいい?
「結局、何時に運動すればいいの?」
という疑問に対する答えは、
まずは、自分が続けやすい時間で大丈夫です。
朝の運動が続く人は朝。
夕食後の散歩が続く人は夕食後。
昼休みにしか時間がない人は昼。
人によって生活は違います。
続けられない「理想の時間」より、続けられる「自分の時間」を選びましょう。
運動する時間について覚えておきたい3つのポイント
① すべての人に共通する「一番よい時間」が決まっているわけではありません
② 食後に少し体を動かすことは、食後血糖の上昇を抑える方法の一つです
③ 時間帯にこだわりすぎず、自分の生活の中で続けられる時間を選びましょう
まとめ
糖尿病の運動療法では、
「朝がいい」
「夕食後がいい」
「○時が一番いい」
といった情報を目にすることがあります。
もちろん、運動する時間によって血糖値への影響が異なることはあります。
しかし、時間帯にこだわりすぎて運動が負担になってしまっては、長く続けることができません。
朝でも、昼でも、夕方でも構いません。
食後に少し歩く方法もあります。
大切なのは、
「一番効果がありそうな時間」より、「自分が続けられる時間」を見つけること。
生活の中に無理なく運動を取り入れていきましょう。
