糖尿病の運動はウォーキングだけで十分?自転車や水泳でもいい?

糖尿病の運動療法というと、

「まずウォーキングをしましょう」

と言われることが多いと思います。

すると、

「歩くのがあまり好きではない」
「膝が痛くて長く歩けない」
「自転車なら好きだけど、それでもいい?」
「水泳でも糖尿病の運動になる?」

と疑問に思う方もいるでしょう。

結論からいうと、糖尿病の運動はウォーキングだけではありません。

自転車、水泳、筋力トレーニングなど、さまざまな方法があります。

大切なのは、

「ウォーキングをしなければならない」と考えることではなく、自分が安全に続けられる運動を見つけること

です。

なぜウォーキングがよく勧められるの?

ウォーキングには大きなメリットがあります。

特別な道具や施設がなくても始めやすく、運動習慣がなかった方でも運動の強さを調節しやすいからです。

家の近所を10分歩くことからでも始められます。

そのため、糖尿病の運動療法として取り入れやすい運動の一つです。

しかし、

「ウォーキングでなければ糖尿病に効果がない」

という意味ではありません。

自転車でもいい?

もちろん、自転車も運動の選択肢になります。

自転車では脚の大きな筋肉を使います。

歩く運動とは違った楽しさがあり、景色を見ながら走ることが好きな方もいるでしょう。

また、ウォーキングよりも膝への負担を少なく感じる方もいます。

一方で、屋外の自転車には転倒や交通事故の危険があります。

特に、

視力に問題がある
低血糖を起こす可能性がある
ふらつきがある
足の感覚が低下している

といった場合には、安全面への注意が必要です。

無理に屋外で自転車に乗る必要はありません。

室内のエアロバイクなどを利用する方法もあります。

自転車は「速く走る」必要はありません

自転車というと、

「速く走らなければ運動にならない」

と思うかもしれません。

そんなことはありません。

糖尿病の運動療法として行うのであれば、競争する必要はありません。

自分が無理なく続けられる強さで十分です。

速さや走った距離を人と比べる必要もありません。

坂道を一生懸命上る必要もありません。

運動は競技ではなく、自分の健康のために行うものだからです。

水泳や水中ウォーキングでもいい?

水泳や水中ウォーキングも運動の選択肢です。

水中では浮力があるため、陸上のウォーキングとは体への負担のかかり方が異なります。

「歩くと膝が痛いけれど、水中なら動きやすい」

という方もいるでしょう。

ただし、心臓や血管の病気などがある場合には注意が必要なことがあります。

また、足に傷や感染がある場合などには、プールの利用が適さないこともあります。

持病がある方は、運動を始める前に主治医に確認してください。

筋力トレーニングも大切です

糖尿病の運動というと有酸素運動に目が向きますが、筋肉を保つ運動も大切です。

筋肉はブドウ糖を利用する大切な組織です。

また、年齢を重ねると筋肉量や筋力が低下しやすくなります。

筋力を保つことは、

歩く
立ち上がる
階段を上る
買い物に行く

といった日常生活を続けるためにも重要です。

筋力トレーニングといっても、必ずしも重いバーベルを持ち上げる必要はありません。

椅子からの立ち座りなど、自分に合った方法から始めることができます。

家事も体を動かす機会になります

「スポーツが苦手だから、自分には運動は無理」

と思っている方もいるかもしれません。

しかし、体を動かすのはスポーツだけではありません。

掃除、買い物、庭仕事など、日常生活の中でも体を動かしています。

もちろん、家事をすべて「運動」に置き換えて考える必要はありません。

それでも、

「運動する時間を作れなかったから、今日は何もしていない」

とは限らないのです。

日常生活の中で体を動かす機会を増やすことも大切です。

一つの運動だけに決めなくても大丈夫

「糖尿病にはこの運動」

と一つに決める必要もありません。

たとえば、

天気のよい日はウォーキング。
休日は自転車。
雨の日は家の中で体を動かす。
ときどき筋力トレーニング。

という組み合わせでも構いません。

むしろ、いくつか選択肢を持っていると、

「雨だから今日は何もできない」

ということが少なくなります。

その日の生活や体調に合わせて運動を選ぶという考え方でもよいのです。

「一番効果のある運動」を探しすぎない

インターネットを見ると、

「糖尿病には○○運動が一番」
「この運動をすれば血糖値が下がる」

といった情報を見かけることがあります。

もちろん、運動の種類によって特徴はあります。

しかし、

医学的に効果が期待できる運動でも、嫌で続けられなければ生活習慣にはなりにくいものです。

反対に、

「歩くのは嫌いだけれど、自転車なら楽しい」

という方なら、自転車の方が長く続けられるかもしれません。

「一番よい運動」より、「自分が続けられる運動」を探してみましょう。

好きな運動があることは大きな強みです

運動を、

「糖尿病だから仕方なくやるもの」

にしてしまうと、続けることが苦しくなることがあります。

一方で、

「散歩すると気分がいい」
「自転車に乗るのが楽しい」
「泳ぐのが好き」
「友人と運動すると楽しい」

という気持ちがあれば、運動を生活の一部にしやすくなります。

糖尿病のためだけではなく、楽しむために体を動かしてもよいのです。

合併症がある場合には運動の種類にも注意

糖尿病の合併症やほかの病気がある場合には、適した運動が異なることがあります。

特に、足の傷や潰瘍、進行した眼の合併症、心臓や血管の病気、強い関節痛などがある方では、運動の種類や強さについて主治医に相談してください。

また、インスリンや低血糖を起こす可能性のある薬を使用している方では、長時間の運動などによる低血糖にも注意が必要です。

「健康のためだから」と無理をしないことが大切です。

運動の種類について覚えておきたい3つのポイント

① 糖尿病の運動はウォーキングだけではありません

② 自転車、水泳、筋力トレーニングなども選択肢になります

③ 「一番効果がある運動」より「安全に続けられる運動」を見つけましょう

まとめ

ウォーキングは、手軽で始めやすい、とてもよい運動です。

しかし、

「糖尿病になったら毎日歩かなければならない」

と考える必要はありません。

自転車が好きなら自転車でもよいでしょう。

泳ぐのが好きなら水泳という選択肢もあります。

筋肉を保つための運動も大切です。

そして、日常生活の中で体を動かすことにも意味があります。

運動を長く続けるためには、

「何をすれば一番血糖値が下がるか」だけではなく、「何なら自分が続けられるか」

という視点も大切です。

運動は糖尿病治療のためだけの「宿題」ではありません。

自分に合った、できれば楽しめる運動を見つけていきましょう。