糖尿病の運動について、
「毎日30分歩いているから大丈夫」
「仕事中はずっと座っているけれど、運動していれば問題ない?」
「テレビを見ている時間が長いけれど、これも血糖値に関係する?」
と疑問に思う方もいるでしょう。
運動することはもちろん大切です。
しかし最近では、運動する時間だけでなく、長い時間座り続けないことも大切だと考えられています。
だからといって、
「座ってはいけない」
ということではありません。
大切なのは、座ることを悪者にするのではなく、長時間の座りっぱなしを、ときどき中断することです。
「座っていること」と「運動不足」は少し違います
「座っている時間が長い人=まったく運動していない人」
とは限りません。
たとえば、
朝に30分ウォーキングをしているけれど、仕事では何時間も座っている。
という方もいるでしょう。
この場合、
運動はしているけれど、座っている時間も長い
ということになります。
つまり、
「運動すること」と「座りっぱなしを減らすこと」は、別々に考えてみる
ことが大切です。
なぜ座りっぱなしに注意するの?
立ったり歩いたりすると、脚をはじめとした筋肉を使います。
一方、長時間座り続けていると、筋肉を使う機会が少なくなります。
食事のあともずっと座っているより、途中で立ったり少し歩いたりすることで、食後の血糖値の上昇を抑えることにつながる場合があります。
また、長時間座り続ける生活を減らして身体活動を増やすことは、糖尿病だけでなく、体力や健康を保つうえでも大切です。
何時間までなら座っていていい?
ここで、
「では、何分ごとに立てばいいの?」
と思うかもしれません。
目安を決める方法もありますが、最初から時間を細かく管理する必要はありません。
まずは、
「長く座っていたことに気づいたら、一度立ってみる」
くらいから始めてもよいでしょう。
仕事や趣味に集中していると、気づかないうちに長時間座っていることがあります。
そんなときに、少し立つ、歩く、用事を済ませるなど、座っている時間を区切る習慣を作ってみましょう。
立つだけでもいい?
「そのたびにウォーキングをしないといけないの?」
と思う必要はありません。
長時間座っていたら、
立ち上がる。
少し歩く。
飲み物を取りに行く。
家事をする。
など、できる範囲で体を動かしてみましょう。
大切なのは、
「運動の時間を作らなければ体を動かせない」
と考えないことです。
日常生活の中にも、体を動かす機会はたくさんあります。
テレビを見ながらでもできます
テレビを見ること自体が悪いわけではありません。
好きな番組を楽しむ時間も大切です。
ただ、何時間も続けて座っていることが多いなら、
「番組の区切りで立ってみる」
「トイレに行ったついでに少し歩く」
「飲み物を取りに行く」
など、ちょっとした動きを加えることができます。
テレビを見るのをやめるのではなく、座りっぱなしを少し減らす。
このくらいの考え方で十分です。
デスクワークの人はどうすればいい?
仕事でパソコンを使っていると、どうしても座っている時間が長くなります。
仕事そのものを変えることは難しいでしょう。
そこで、
・休憩のときに立つ
・コピーや用事のついでに歩く
・昼休みに少し歩く
・可能な場面では立って体を動かす
など、仕事の邪魔にならない範囲で座る時間を区切ってみましょう。
「仕事中に運動しなければ」
と考える必要はありません。
日常の中で小さな動きを増やすことを意識してみましょう。
食後は少し動いてみるのも一つの方法
食後は血糖値が上昇しやすい時間です。
そのため、食事のあとにずっと座っている方では、少し体を動かしてみるのも一つの方法です。
たとえば、
食器を片づける。
家の中を少し歩く。
近所を短時間散歩する。
といった程度でも構いません。
「食後は必ず30分ウォーキング」
と決めなくてもよいのです。
できる日に、できる範囲で取り入れてみましょう。
座ってできる運動ではだめ?
高齢の方や、足腰に問題がある方など、立ったり歩いたりすることが難しい場合もあります。
そのような方に、
「とにかく立ちましょう」
というのは適切ではありません。
椅子に座ったまま足を動かすなど、その人の状態に合った方法で体を動かすこともできます。
安全が最優先です。
転倒の危険がある方や、足や関節に問題がある方は、無理に立ったり歩いたりせず、主治医や医療スタッフに相談してください。
「運動したから、あとは一日中座っていても大丈夫」ではありません
朝にウォーキングをした日は、
「今日の運動は終わった」
と思うかもしれません。
もちろん、ウォーキングをしたことには十分意味があります。
そのうえで、
残りの時間も、ときどき体を動かしてみる
と考えてみましょう。
運動の30分だけが健康のための時間ではありません。
朝起きてから夜寝るまでの生活全体の中で、少しずつ体を動かすことも大切です。
座りっぱなしを減らすために覚えておきたい3つのポイント
① 運動している人でも、長時間座り続けることには注意しましょう
② まとまった運動だけでなく、日常生活の中でこまめに体を動かすことも大切です
③ 完璧を目指さず、「長く座っていたら少し動く」くらいから始めましょう
まとめ
糖尿病の運動療法というと、
「1日何分歩くか」
「何歩歩くか」
に目が向きやすいものです。
しかし、それだけではありません。
仕事、テレビ、読書、パソコンなどで長時間座る生活をしている方は、
「少し立つ」
「少し歩く」
「用事のついでに体を動かす」
という小さな工夫も大切です。
そして、座って休むこと自体を悪いことだと思う必要もありません。
疲れたときには休んでください。
大切なのは、
「座らない生活」ではなく、「座りっぱなしになりすぎない生活」。
特別な運動だけではなく、普段の生活の中で少しずつ体を動かす機会を増やしていきましょう。
