運動しているのに血糖値が下がらないのはなぜ?糖尿病と運動の考え方

糖尿病のために運動を始めたのに、

「毎日歩いているのに血糖値が下がらない」
「運動しているのにHbA1cが変わらない」
「もっと運動しないといけないの?」

と悩む方もいるかもしれません。

せっかく頑張っているのに数字が変わらないと、がっかりしてしまうこともあるでしょう。

しかし、運動しているのに血糖値が下がらないからといって、運動に意味がないわけではありません。

血糖値やHbA1cは、運動だけで決まるものではないからです。

血糖値は運動だけで決まりません

血糖値には、さまざまなものが影響します。

たとえば、

・食事の量や内容
・食事をした時間
・運動の量や時間
・睡眠
・体調
・感染症などの病気
・ストレス
・糖尿病の薬やインスリン

などです。

そのため、

「運動した=必ず血糖値が下がる」

という単純な関係ではありません。

運動しているのに血糖値が高かったとしても、「運動が足りない」とすぐに考える必要はありません。

運動直後に血糖値が下がらないこともあります

運動をすると筋肉がブドウ糖を利用するため、血糖値が下がる方向に働くことがあります。

しかし、血糖値はそのときの食事、運動の強さ、体調などによって変化します。

また、強い運動では、体が運動に対応するために血糖値を上げる方向に働くホルモンが増え、一時的に血糖値が上昇することもあります。

そのため、運動直後の1回の血糖値だけを見て、

「運動したのに下がらなかったから意味がない」

と判断する必要はありません。

HbA1cはすぐには変わりません

運動を始めて数日後にHbA1cを見て、

「ほとんど変わっていない」

と感じることもあるかもしれません。

HbA1cは、その日の血糖値だけを示す数字ではなく、最近の血糖状態を反映する指標です。

そのため、運動を始めても、すぐに大きく変化するとは限りません。

短期間の数字だけで運動の効果を判断しないことも大切です。

「もっと激しく運動しよう」と考えなくても大丈夫

血糖値が思うように下がらないと、

「歩く時間を倍にしよう」
「もっと速く走ろう」
「毎日休まず運動しよう」

と考えることがあります。

しかし、急に運動量を増やすと、疲労がたまったり、膝や腰、足などを痛めたりすることがあります。

特にこれまで運動習慣がなかった方では、頑張りすぎると続けることが難しくなります。

血糖値が高かったことへの“罰”として運動を増やす必要はありません。

自分が安全に続けられる運動を基本にしましょう。

運動以外の部分も一緒に見てみましょう

運動を続けているのにHbA1cが高いときには、

「運動が足りない」

と決めつけるのではなく、食事や生活全体を一緒に振り返ってみましょう。

たとえば、

「甘い飲み物を飲むことが増えていないか」
「間食が増えていないか」
「最近、睡眠不足ではないか」
「体調を崩していなかったか」
「薬を飲み忘れることがなかったか」

などです。

原因を探すことは、患者さんを責めるためではありません。

これからの治療を考えるための手がかりを見つけるためです。

糖尿病の状態そのものが変化することもあります

同じような生活を続けていても、糖尿病の状態はずっと同じとは限りません。

時間とともにインスリンを分泌する力が変化したり、これまでの治療では血糖値を十分にコントロールできなくなったりすることがあります。

これは、

「運動を頑張らなかったから」

とは限りません。

運動や食事に気をつけているのに血糖値やHbA1cが高い状態が続く場合には、治療内容を見直す時期かもしれません。

主治医に相談してみましょう。

体重が減らなくても運動には意味があります

運動を始めると、

「体重が減れば成功」
「体重が変わらなければ失敗」

と考えてしまうことがあります。

しかし、運動には体重や血糖値以外にも意味があります。

体力や筋力を維持すること、体を動かしやすくすること、心臓や血管の健康を保つことなども大切です。

体重計や血糖値の数字だけで、運動の価値を決めないようにしましょう。

「運動できなかった日」があっても大丈夫

毎日運動しようと思っていても、

雨の日
仕事が忙しい日
疲れている日
体調が悪い日

もあります。

そんな日に運動できなかったからといって、それまでの運動が無駄になるわけではありません。

次にできる日に、また始めればよいのです。

運動を続けるということは、「一度も休まないこと」ではありません。

休みながらでも、長く続けていくことが大切です。

血糖値が高いときに運動すればよい?

血糖値が高いのを見て、

「運動して下げよう」

と考えることもあるでしょう。

しかし、血糖値が非常に高い場合や、吐き気、強いだるさなど体調が悪い場合には、運動が適さないことがあります。

特にインスリンが大きく不足している状態では注意が必要です。

高い血糖値を運動だけで無理に下げようとしないことが大切です。

血糖値が普段より大きく異なる場合や体調不良を伴う場合には、主治医から受けている指示に従い、必要に応じて医療機関へ相談してください。

運動と血糖値について覚えておきたい3つのポイント

① 血糖値やHbA1cは、運動だけで決まるものではありません

② 運動直後の1回の血糖値だけで、運動の効果を判断しないようにしましょう

③ 数字が改善しないからといって、急に運動量を増やす必要はありません

まとめ

運動を続けているのに血糖値やHbA1cが思うように改善しないと、

「自分の努力が足りないのではないか」

と思ってしまうかもしれません。

しかし、糖尿病の血糖値は、食事、運動、薬、体調、睡眠など、さまざまな要因によって変化します。

そして運動には、血糖値を下げること以外にも、筋力や体力を保つなど大切な役割があります。

ですから、

「数字が下がらなかったから、もっと頑張る」

ではなく、

「なぜ下がらなかったのかを一緒に考える」

ことが大切です。

運動は糖尿病の数字に対する罰ではありません。

自分の体を守るために、無理なく続けられる運動を生活の中に取り入れていきましょう。