朝起きて血糖値を測ったとき、
「昨日の夜から何も食べていないのに、どうして血糖値が高いの?」
と不思議に思ったことはありませんか?
血糖値は、食べたものだけで決まるわけではありません。
実は、私たちの体は食事をしていない間も、血糖値が下がりすぎないように調節しています。
そのため、何も食べていなくても、朝の血糖値が高くなることがあります。
この記事では、食べていないのに朝の血糖値が高くなる理由について、わかりやすく説明します。
食べていなくても肝臓からブドウ糖が供給される
私たちの体は、寝ている間もエネルギーを必要としています。
特に脳をはじめとする体のさまざまな部分が働くためには、エネルギーが必要です。
そこで、食事からブドウ糖が入ってこない時間帯には、主に肝臓が血液中にブドウ糖を供給します。
健康な人では、インスリンなどの働きによって血糖値が上がりすぎないように調節されています。
糖尿病では、この調節がうまくいかず、肝臓から供給されるブドウ糖を十分に抑えられないことがあります。
そのため、
「何も食べていない=血糖値が必ず下がる」
というわけではありません。
朝方に血糖値が上がる「暁現象」
朝方になると、私たちの体は目覚める準備を始めます。
この時間帯には、体を活動させるために血糖値を上げる方向に働くホルモンの影響が強くなることがあります。
糖尿病では、その影響を十分に抑えられず、明け方から朝にかけて血糖値が上昇することがあります。
これを「暁現象(あかつきげんしょう)」と呼びます。
つまり、夕食後に何も食べていなくても、体の中では血糖値を上げる仕組みが働いているのです。
朝の血糖値が高い=夕食を食べすぎた?
必ずしもそうではありません。
もちろん、夕食の量や内容、夜遅い食事、間食などが朝の血糖値に影響することはあります。
しかし、朝の血糖値には、
・夕食の量や時間
・夜間から朝方の肝臓からのブドウ糖供給
・インスリンの分泌や効き方
・糖尿病の治療内容
・睡眠や体調
・発熱や感染症など
さまざまな要因が関係します。
そのため、
「朝の血糖値が高かったから、夕食をもっと減らそう」
とすぐに考える必要はありません。
食事を必要以上に減らすことで、かえって栄養不足や低血糖につながることもあります。
夜間の低血糖にも注意
インスリンや低血糖を起こす可能性のある薬を使用している方では、夜間に低血糖が起こることがあります。
ただし、朝の血糖値だけを見て、夜間に低血糖があったかどうかを判断することはできません。
夜間の低血糖が疑われる場合には、自己判断で薬やインスリンを変更せず、主治医に相談しましょう。
朝の血糖値が高かったらどうする?
1回だけ朝の血糖値が高かったからといって、すぐに治療を変更する必要があるとは限りません。
まずは、
・朝の血糖値が何日も高いのか
・夕食の時間や内容に変化がなかったか
・夜食や間食がなかったか
・体調を崩していないか
・薬やインスリンをいつも通り使用できているか
などを振り返ってみましょう。
大切なのは、1回の数字ではなく、同じような傾向が続いているかを見ることです。
朝の血糖値が高い状態が続く場合には、記録を主治医に見せると、原因や治療を考える手がかりになります。
自己判断で薬やインスリンを増やさない
朝の血糖値が高いと、
「薬を増やした方がいいのでは?」
「夜のインスリンを増やそう」
と思うことがあるかもしれません。
しかし、朝の血糖値が高くなる原因は一つではありません。
原因を確認せずに薬やインスリンを増やすと、夜間の低血糖などにつながる可能性があります。
薬やインスリンの調整については、自己判断で大きく変更せず、主治医と相談してください。
今日覚えてほしい3つのこと
① 食べていない間も、主に肝臓からブドウ糖が供給されている
② 朝方には「暁現象」によって血糖値が上がることがある
③ 朝の血糖値が高いからといって、すぐに「夕食の食べすぎ」と決めつけない
朝の血糖値が高いのには、食事だけではなく、体の血糖調節や治療、体調などさまざまな理由があります。
「食べていないのに高いのはおかしい」と考える必要はありません。
1回の数字だけで食事を極端に減らしたり、薬を自己判断で変更したりするのではなく、血糖値の変化を見ながら原因を考えていくことが大切です。
