糖尿病の診察では、「空腹時血糖」や「食後血糖」という言葉を聞くことがあります。
同じ血糖値でも、いつ測ったのかによって意味が違います。
「朝の血糖値はそれほど高くないのに、HbA1cが高い」
「食後だけ血糖値が高くなる」
ということも珍しくありません。
血糖値は一日の中で変化しているため、1回の数字だけではなく、どの時間帯に血糖値が上がっているのかを見ることが大切です。
この記事では、空腹時血糖と食後血糖の違いについて、わかりやすく説明します。
空腹時血糖とは?
空腹時血糖とは、一定時間、食事をとっていない状態で測定した血糖値です。
一般には、朝食をとる前に測定する血糖値をイメージするとわかりやすいでしょう。
「何も食べていないのだから、血糖値はどんどん下がるのでは?」と思うかもしれません。
しかし、食事をしていない間も、私たちの体にはエネルギーが必要です。
そのため、主に肝臓からブドウ糖が供給され、血糖値が保たれています。
糖尿病では、この調節がうまくいかず、食べていないのに朝の血糖値が高くなることがあります。
食後血糖とは?
食事をすると、食べ物に含まれる炭水化物などが消化・吸収され、血糖値が上昇します。
それに対してインスリンが働くことで、血糖値は次第に下がっていきます。
糖尿病では、インスリンの分泌が十分でなかったり、インスリンが効きにくくなったりするため、食後の血糖値が大きく上昇することがあります。
これを「食後高血糖」と呼びます。
朝の血糖値が良ければ大丈夫?
必ずしもそうとは限りません。
朝の空腹時血糖が良好でも、食後に血糖値が大きく上がっている場合があります。
たとえば、
・朝食後に高くなる
・昼食後に高くなる
・夕食後に高くなる
・間食や飲み物のあとに高くなる
など、人によって血糖値が上がりやすい時間帯は異なります。
そのため、
「朝の血糖値が良かった=一日中血糖値が良かった」
とは限りません。
HbA1cが高いのに空腹時血糖がそれほど高くない場合には、食後など別の時間帯に血糖値が上がっていないかを考えることがあります。
食後血糖だけ高くなるのはなぜ?
食後の血糖値は、食事の量だけで決まるわけではありません。
食事の内容、インスリンの分泌や効き方、運動、糖尿病の治療など、さまざまな要因によって変化します。
そのため、
「食後血糖が高かった=食べすぎた」
と単純に考える必要はありません。
「もっと食事を減らさなければ」と考える前に、どの時間帯に、どのようなときに血糖値が上がっているのかを見ることが大切です。
血糖値は「いつ測ったか」も大切
血糖値を見るときには、数字だけでなく、測定した時間も確認しましょう。
同じ150 mg/dLでも、
「朝食前の150 mg/dL」
と
「食後の150 mg/dL」
では意味が違います。
また、「食後」といっても、食事を始めてからどのくらい時間が経っているのかによって血糖値は変化します。
自宅で血糖値を測定している方は、主治医から指示された時間に測定すると、治療を考えるための役立つ情報になります。
また、必要に応じて持続血糖測定器(CGM)などを用いて、血糖値の変化を詳しく確認することもあります。
空腹時血糖と食後血糖、どちらが大切?
どちらも大切です。
空腹時血糖だけ、あるいは食後血糖だけを見ればよいというものではありません。
さらに、HbA1cや低血糖の有無なども合わせて考えることで、血糖の状態がよりわかりやすくなります。
大切なのは、
「血糖値が高かったか、低かったか」だけでなく、「いつ、どのように変化しているか」を見ることです。
今日覚えてほしい3つのこと
① 空腹時血糖は、食事をとっていないときの血糖状態を見る
② 朝の血糖値が良くても、食後に血糖値が上がっていることがある
③ 血糖値は1回の数字だけでなく、「いつ測ったか」と「変化の流れ」を見ることが大切
血糖値は、一日の中で上がったり下がったりしています。
1回高い数字が出ただけで、「食べすぎた」「治療がうまくいっていない」と決めつける必要はありません。
大切なのは、血糖値の数字だけを見るのではなく、「いつ測った血糖値なのか」を一緒に考えることです。
血糖値の変化を知ることは、食事を必要以上に我慢するためではなく、自分に合った無理のない糖尿病治療を見つけるための手がかりになります。
