「血糖値とHbA1cは何が違うの?それぞれの意味をわかりやすく解説」

糖尿病の診察では、「血糖値」と「HbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー)」という言葉をよく聞きます。

どちらも糖尿病の状態を知るための大切な検査ですが、同じものを見ているわけではありません。

「今日の血糖値は良かったのに、HbA1cが高かった」

「血糖値が高かったから、HbA1cもすぐに上がってしまうのでは?」

と心配になる方もいるかもしれません。

簡単にいうと、

血糖値は「その時点の血糖の状態」

HbA1cは「最近の血糖状態をある程度まとめて見る指標」

と考えるとわかりやすくなります。

この記事では、血糖値とHbA1cの違いと、それぞれをどのように見ればよいのかを説明します。

血糖値とは?

血糖値とは、血液中にどのくらいブドウ糖が含まれているかを示す値です。

血糖値は一日の中でも大きく変化します。

たとえば、

・食事をすると上がる
・運動すると変化する
・空腹の時間が長くなると変化する
・発熱や感染症などの体調不良で上がることがある
・ストレスや睡眠不足などの影響を受けることがある
・糖尿病薬やインスリンによって下がる

など、さまざまな要因によって動きます。

そのため、病院で測った1回の血糖値は、「そのときの血糖の状態を切り取ったもの」と考えることができます。

食前と食後でも血糖値は違う

同じ人でも、食事の前と食事の後では血糖値が違います。

そのため、

「血糖値が○○mg/dLだった」という数字だけではなく、いつ測った血糖値なのか

を見ることが大切です。

たとえば食後の血糖値と空腹時の血糖値を、まったく同じ基準で比べることはできません。

HbA1cとは?

HbA1cは、血液中の赤血球に含まれるヘモグロビンにブドウ糖が結びついた割合を示したものです。

血糖値が高い状態が続くほど、一般にHbA1cも高くなります。

HbA1cはその日の食事だけで大きく変わるものではなく、過去1~2か月を中心とした最近の血糖状態を反映する指標として使われています。

そのため、診察の日の朝に食事を控えたからといって、そのことだけでHbA1cが急に下がるわけではありません。

血糖値を「その瞬間を写した写真」と考えるなら、

HbA1cは「最近の血糖状態をまとめて眺めるもの」

と考えるとわかりやすいでしょう。

血糖値が良くてもHbA1cが高いことはある?

あります。

たとえば病院で測定した血糖値が良くても、

・別の時間帯では血糖値が高い
・食後に血糖値が大きく上昇している
・最近まで血糖値が高い状態が続いていた

などの場合には、HbA1cが高いことがあります。

つまり、

「今日の血糖値が良かった=最近ずっと血糖値が良かった」

とは限りません。

反対に、診察の日にたまたま血糖値が高かったからといって、それだけでHbA1cが急に悪くなるわけでもありません。

血糖値とHbA1cの両方を見ることで、血糖の状態をより立体的に考えることができます。

HbA1cが実際の血糖状態と合わないこともある

HbA1cは糖尿病の状態を知るためのとても便利な検査ですが、いつでも実際の血糖状態を正確に表しているとは限りません。

HbA1cは赤血球に含まれるヘモグロビンを利用した検査です。

そのため、血糖値だけでなく、赤血球の状態や寿命などの影響を受けることがあります。

たとえば、

・貧血などで赤血球の状態が変化している
・出血があった
・輸血を受けた
・赤血球が通常より早く入れ替わっている
・腎臓の働きが大きく低下している

などの場合には、HbA1cと実際の血糖状態にずれが生じることがあります。

つまり、

「HbA1cが低い=必ず血糖値も低い」

とは限りません。

反対に、状態によってはHbA1cが実際の血糖状態より高めにみえることもあります。

HbA1cだけで判断しないことも大切

糖尿病の診察ではHbA1cがよく使われるため、どうしてもその数字だけに目が向きやすくなります。

しかし、糖尿病の状態を考えるときには、

・HbA1c
・血糖値
・自宅で測定した血糖値
・持続血糖測定器(CGM)の結果
・低血糖の有無
・食事や運動の状況
・体調の変化

などを必要に応じて組み合わせて考えます。

特に、

「血糖値は高いことが多いのにHbA1cはそれほど高くない」

あるいは、

「血糖値はそれほど高くないのにHbA1cが高い」

という場合には、HbA1cの数字だけで判断せず、その理由を考えることが大切です。

HbA1cは低ければ低いほどよい?

「HbA1cをできるだけ低くすれば、糖尿病の治療はうまくいっている」と思われることがあります。

しかし、HbA1cは低ければ低いほどよい、というわけではありません。

糖尿病治療の目標は、年齢、糖尿病の治療内容、低血糖の危険性、合併症、その他の病気などによって異なります。

特に、無理に血糖値を下げようとして低血糖を繰り返してしまっては、安全な治療とはいえません。

大切なのは、一つの数字をできるだけ低くすることではなく、自分に合った目標を設定し、安全に続けられる治療を行うことです。

1回の数字に一喜一憂しない

血糖値がいつもより高かったり、HbA1cが前回より少し上がったりすると、

「治療がうまくいっていないのでは?」

「もっと食事を減らさなければ」

と思ってしまうことがあります。

しかし、血糖値やHbA1cはさまざまな要因によって変化します。

大切なのは、1回の数字だけで良い・悪いを決めるのではなく、変化の流れを見ることです。

「なぜ今回は上がったのだろう?」

「最近、食事や運動、体調に変化はなかっただろうか?」

と振り返りながら、必要であれば主治医と治療について相談しましょう。

今日覚えてほしい3つのこと

① 血糖値は「その時点」の血糖状態を表す

② HbA1cは「最近の血糖状態」をある程度まとめて見る指標

③ HbA1cは貧血などの影響を受けることがあり、血糖値と一致しない場合もある

血糖値とHbA1cは、どちらが優れているというものではありません。

それぞれ違う角度から血糖の状態を見ている検査です。

一つの数字だけにとらわれず、血糖値、HbA1c、低血糖の有無、日々の生活などを合わせて考えることが大切です。

糖尿病治療では、「数字を完璧にすること」よりも、自分に合った目標を設定し、安全に治療を続けていくことを大切にしましょう。