自宅で血糖値を測っていると、
「朝は160mg/dLなのに、昼前には110mg/dLでした」
「同じように食べているのに、朝と夜で血糖値が違います」
「朝だけ高いのは糖尿病が悪くなったからですか?」
「血糖値は一日中同じくらいが理想ですか?」
と疑問に思うことがあります。
しかし、血糖値は一日の中でも常に変化しています。
朝、昼、夜で血糖値が違うこと自体は不思議なことではありません。
大切なのは、一つの数字だけを見るのではなく、どの時間帯に上がりやすく、どの時間帯に下がりやすいのかという「パターン」を見ることです。
血糖値は一日中同じではありません
私たちの血糖値は、食事をしていない時間にも一定ではありません。
血糖値には、
- 食事
- インスリンの働き
- 肝臓からの糖の供給
- 運動や日常の活動
- 睡眠
- ストレス
- 薬
など、さまざまな要因が影響しています。
そのため、朝と昼で血糖値が違っていても、それだけで異常とはいえません。
食べていないのに血糖値が上がるのはなぜ?
「何も食べなければ血糖値は下がり続ける」
と思うかもしれません。
しかし、実際にはそうではありません。
食事をしていない間も、脳などがエネルギーを必要としています。
そのため体は、主に肝臓に蓄えられた糖を利用したり、新たに糖を作ったりして、血液中へ供給しています。
つまり、
血糖値は食べたものだけで決まるわけではありません。
なぜ朝は血糖値が高くなることがあるの?
朝の血糖値が高くなる理由の一つに、早朝のホルモンの変化があります。
朝になると、体は目覚めて活動する準備を始めます。
その過程で血糖値を上げる方向に働くホルモンの影響などにより、肝臓から糖が供給されます。
その結果、
夕食後にはそれほど高くなかったのに、翌朝の血糖値が高い
ということがあります。
これが、いわゆる**暁現象(dawn phenomenon)**に関係する場合があります。
朝の血糖値が高いからといって、必ずしも前日の夕食を食べすぎたとは限りません。
朝は高いのに昼前には下がるのはなぜ?
朝食前には高かった血糖値が、昼前には下がっていることがあります。
これには、
朝に使用した糖尿病薬やインスリン
午前中の身体活動
朝食後のインスリン分泌
早朝のホルモンの影響が弱くなること
など、さまざまな要因が関係します。
たとえば通勤や家事、仕事なども身体活動です。
特別な運動をしていなくても、起床後に活動を始めることで血糖値の動きが変わることがあります。
朝食後だけ高くなることもある?
あります。
同じ量の炭水化物を食べても、時間帯によって血糖値の上がり方が同じとは限りません。
また、
朝食の内容
薬やインスリンの作用する時間
起床後の活動量
なども関係します。
そのため、
「朝食後だけいつも高い」
というパターンが見つかることもあります。
大切なのは、一度高かったことではなく、同じ傾向が繰り返されているかどうかです。
夕方になると血糖値が高くなる人もいます
血糖値が高くなる時間帯は人によって違います。
夕方から夜に高くなりやすい場合には、
昼食や夕食の内容
間食
日中の活動量
薬やインスリンの作用時間
などが関係している可能性があります。
「糖尿病の人は朝が一番高くなる」と決まっているわけではありません。
自分がどの時間帯に上がりやすいのかを知ることが大切です。
食前血糖が良ければ安心?
食前血糖が良くても、食後に大きく上昇していることがあります。
たとえば、
朝食前は110mg/dL
昼食前も120mg/dL
だったとしても、その間の朝食後に高くなっている可能性があります。
反対に、食後血糖だけを見ていても、夜間や空腹時の血糖状態は分かりません。
そのため、必要に応じて測定する時間帯を変えることで、血糖値の特徴が分かることがあります。
毎日すべての時間帯を測る必要はありません
「血糖値のパターンを見るなら、朝・昼・夜・食後・寝る前と全部測った方がいいのでは?」
と思うかもしれません。
しかし、すべての糖尿病患者さんが毎日何度も測定する必要があるわけではありません。
治療内容や低血糖の危険性によって、必要な測定回数は異なります。
たとえば主治医と相談して、
「今回は朝食前を確認する」
「別の日には夕食後を確認する」
というように、目的を決めて測定する方法もあります。
血糖測定は回数を競うものではありません。
HbA1cだけでは分からないことがあります
HbA1cは、ある程度長い期間の血糖状態を見るために非常に重要な指標です。
しかし、HbA1cだけでは、
朝だけ高い
食後だけ高い
夜間に低血糖がある
といった一日の中の変化までは分かりません。
たとえば同じHbA1cでも、
比較的安定した血糖値で推移している方と、高血糖と低血糖を繰り返している方では、血糖値のパターンが異なることがあります。
HbA1cと実際の血糖値は、それぞれ違った情報を教えてくれます。
朝だけ高ければ薬を増やした方がいい?
自己判断で増やさないでください。
朝の血糖値が高い原因には複数の可能性があります。
夜間の血糖値がどうなっているのか、薬やインスリンがどのように作用しているのかを確認せずに治療を変更すると、別の時間帯に低血糖を起こす可能性があります。
特にインスリンを使用している方では、
朝高いから夜のインスリンを増やす
と自己判断しないことが重要です。
主治医から具体的な調整方法を指示されている場合には、その指示に従ってください。
血糖値は「点」より「流れ」を見ましょう
血糖値を見るときには、一つ一つの数字を採点するより、
一日の中の流れを見る
ことが役立ちます。
たとえば、
「朝は高いけれど昼には下がる」
「昼までは安定しているが夕食後に高くなる」
「運動した日の夜に低くなりやすい」
といった特徴です。
こうしたパターンが分かれば、食事や運動、薬の調整を考える手がかりになります。
血糖値が毎日違っても失敗ではありません
糖尿病治療をしていると、
「昨日より20mg/dL高かった」
「今日は朝から高かった」
と数字が気になることがあります。
しかし、血糖値は食事だけでなく、体調、睡眠、活動量、ストレスなどでも変化します。
毎日まったく同じ数字になることを目標にする必要はありません。
血糖値は成績表ではなく、自分の体の特徴を知るための情報です。
今日覚えてほしい3つのこと
① 血糖値は一日の中でも変化するのが普通です
② 朝の血糖値が高くても、前日の食べすぎだけが原因とは限りません
③ 一つの数字より、「どの時間帯に上がりやすい・下がりやすいか」というパターンを見ることが大切です
まとめ
血糖値は一日中同じではありません。
食事だけでなく、
- 肝臓からの糖の供給
- ホルモン
- インスリン
- 薬
- 身体活動
- 睡眠や体調
などによって常に変化しています。
そのため、
朝は高いのに昼には下がる
ということもあります。
大切なのは、朝の一つの数字を見て、
「昨日食べすぎた」
「糖尿病が悪化した」
「薬が足りない」
とすぐに決めつけないことです。
血糖値の「点」ではなく「流れ」を見ると、自分の血糖値の特徴が分かりやすくなります。
そして治療を変更する必要がある場合には、そのパターンを主治医と一緒に確認していきましょう。

