糖尿病の運動について、
「運動すると低血糖になるのが心配」
「血糖値が低めのときでも歩いていい?」
「運動中に低血糖になったらどうすればいい?」
と不安に思う方もいるでしょう。
運動すると筋肉がブドウ糖を利用するため、血糖値が下がることがあります。
特に、インスリンや低血糖を起こす可能性のある糖尿病薬を使用している方では、運動による低血糖に注意が必要です。
しかし、低血糖が心配だからといって、運動をすべて避ける必要はありません。
大切なのは、自分の治療と低血糖のリスクを知り、安全に運動することです。
どうして運動で低血糖になるの?
運動すると、筋肉はエネルギーとしてブドウ糖を利用します。
そのため、運動中や運動後には血糖値が下がることがあります。
ただし、運動をしたすべての人に低血糖が起こるわけではありません。
低血糖の起こりやすさは、
・使用している薬やインスリン
・運動の強さや時間
・食事との時間関係
・運動前の血糖値
・その日の体調
などによって異なります。
「運動=必ず低血糖になる」わけではありません。
低血糖の症状を知っておきましょう
低血糖になると、
・冷や汗
・手のふるえ
・動悸
・強い空腹感
・ふらつき
・集中しにくい
などの症状が現れることがあります。
さらに血糖値が低下すると、意識がもうろうとしたり、自分で適切な対応ができなくなったりすることもあります。
運動中に「いつもと違う」と感じたときには、無理に運動を続けないようにしましょう。
低血糖を感じたら運動を続けない
運動中に低血糖が疑われた場合には、いったん運動を中止することが大切です。
安全な場所で休み、可能であれば血糖値を確認します。
意識があり、安全に飲み込める状態であれば、主治医から説明されている方法に従ってブドウ糖などで低血糖に対処します。
一般にはブドウ糖10~20g程度が一つの目安になります。
可能であれば約15分後に血糖値や症状を再確認し、まだ低い場合や症状が続く場合には再度対応します。
低血糖の症状が残っている状態で、すぐに運動を再開しないようにしましょう。
意識がおかしいときには食べ物や飲み物を口から与えない
低血糖が重くなると、意識がもうろうとしたり、けいれんしたり、意識を失ったりすることがあります。
このような場合には、無理に食べ物や飲み物を口から与えると、誤嚥する危険があります。
安全に飲み込めない状態では、口から食べ物や飲み物を与えないでください。
グルカゴンを処方され、使用方法について説明を受けている場合には、その指示に従います。
意識障害などを伴う重い低血糖では、救急対応が必要です。
運動するときはブドウ糖を持っておきましょう
低血糖を起こす可能性のある治療を受けている方は、運動するときにもブドウ糖など、低血糖にすぐ対応できるものを携帯しておくと安心です。
特に、
・長い時間歩く
・いつもより運動量が多い
・旅行先など普段と違う場所で運動する
ときには、事前に準備しておきましょう。
「低血糖になってから買えばよい」ではなく、あらかじめ持っておくことが大切です。
空腹のまま運動しても大丈夫?
空腹時の運動で低血糖が起こるかどうかは、治療内容などによって異なります。
特にインスリンや低血糖を起こす可能性のある薬を使用している方では注意が必要です。
「空腹で運動すれば、より血糖値が下がる」
と考えて、自己判断で食事を抜いて運動することはおすすめできません。
自分の場合、食事と運動をどのように組み合わせるのがよいか、主治医に確認しておきましょう。
長時間の運動やいつもより強い運動には注意
普段10分程度歩いている方が、旅行やスポーツなどで何時間も体を動かすと、いつもと血糖値の動きが変わることがあります。
また、運動による血糖値への影響は、運動中だけとは限りません。
長時間または強い運動をしたあとには、時間がたってから血糖値が下がることもあります。
特に普段より運動量が多かった日は、運動が終わったから大丈夫と決めつけず、その後の体調にも注意しましょう。
薬やインスリンを自己判断で変更しない
運動するからといって、
「今日はインスリンを打たないでおこう」
「薬を減らしておこう」
と自己判断で変更することはおすすめできません。
運動時の調整が必要かどうかは、使用している薬やインスリン、運動内容などによって異なります。
よく運動する方やスポーツをする方は、運動する日の薬やインスリン、食事について、あらかじめ主治医と相談しておくことが大切です。
低血糖が怖くて運動できないときは
以前、運動中に低血糖を経験すると、
「また起こるのではないか」
と運動が怖くなることがあります。
その場合に、無理に運動を続ける必要はありません。
まず、
どのような運動をしたときに低血糖になったのか
食事との時間関係はどうだったのか
そのときの薬やインスリンはどうだったのか
を主治医と一緒に振り返ってみましょう。
治療や運動方法を見直すことで、安全に運動できる方法が見つかることがあります。
運動と低血糖について覚えておきたい3つのポイント
① インスリンや一部の糖尿病薬を使用している方では、運動による低血糖に注意が必要です
② 低血糖が疑われたら、無理に運動を続けず、まず適切に対処しましょう
③ 低血糖を起こす可能性がある方は、運動時にもブドウ糖などを携帯しましょう
まとめ
運動は糖尿病治療の大切な一つです。
しかし、
「血糖値を下げるために、できるだけたくさん運動する」
ことが目的ではありません。
低血糖を起こす可能性のある治療を受けている方では、安全に運動できる方法を考えることが大切です。
まずは、
自分の薬では低血糖が起こる可能性があるのか
低血糖になったらどう対処するのか
を知っておきましょう。
そして必要な方は、運動するときにブドウ糖を携帯してください。
「頑張って運動する」より、「安全に続けられる運動をする」。
それが糖尿病の運動療法では大切です。
